【6月19日付編集日記】重なる未来

 まばたきする大きな目に、まずくぎ付けになった。手を上げたり、首を動かしたりしながら言葉を発するロボットの前に立つたび、ワクワクした記憶がある。半世紀前、福島市児童文化センターに登場した「シルバータロウ」の存在感は際立っていた

 ▼17日付本紙「みんゆうジュニア情報局」に載った記事を、懐かしい思いで読まれた読者も多いのではないか。センターが閉館した後、同市の佐原小に活動の場を移し、児童たちを見守りながら朝礼などで交流する姿を伝えている

 ▼「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博が、開幕まで1年を切った。開催費用は当初の予定より膨らみ、海外パビリオンの工事が遅れるなど、多くの課題を抱えながら準備が進む

 ▼世界最大級の木造建築物となる巨大屋根「リング」や、空飛ぶ車のデモフライトといった話題性はある。ただ、関心が高まっているとは言い難い。何を体験できるのか、中身がよく伝わっていないのも一因だろう

 ▼ロボットとの共生もうたう祭典が、子どもたちをどれだけワクワクさせるか。鮮明な記憶と共に、万博の示した未来と大人になってからの社会が重なり合う。そんな体験の場であってほしい。

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