ボウリング場 熱意で存続 福島県内閉鎖相次ぎ、練習場不足 プロ目指す中学生応援 有志ら新会社、郡山で運営

すまいるボウルでプロを目指して練習に励む美桜里さん

 福島県内でボウリング場の閉鎖が相次ぐ中、郡山市で存続が危ぶまれたボウリング場を再建するため、プロボウラーらが協力して合同会社を設立し、運営に乗り出した。背景には、プロを目指している一人の中学生を応援したいとの思いがあった。市内の明健中1年の国分美桜里さん(12)だ。美桜里さんは「プロになって、支えてくれる人に恩返しをしたい」と思いを語る。合同会社の代表を務める元プロボウラーの清水美恵子さん(64)は「プロボウラーになる夢を後押ししていく」と決意する。

 新たなボウリング場「すまいるボウル」には八つのレーンが設けられ、中学生から95歳の高齢者まで幅広い世代が集い、快音を響かせる。美桜里さんも足しげく通い、プロボウラーの山内国彦さん(61)から指導を受ける。

 美桜里さんは両親と幼い頃から市内のボウリング場に足を運んだ。明健小に入学してから本格的に競技を始めた。小学4年で出場した県ジュニアボウリング大会小学生の部で優勝。昨年1月には女性ボウラーの全国組織ジャパンレディースボウリングクラブ(JLBC)に登録した。同4月に都内で開かれたJLBCの全国大会小学生の部で優勝するなど着実に力を付けてきたが、練習場所の確保に苦労していた。

 県ボウリング場協会によると、現在、県内のボウリング場は11施設で、ピークだった1972(昭和47)年の63施設の6分の1まで減少した。郡山市内では2カ所のみにとどまる。市内では2021(令和3)年4月にタイトーアミューズメントシティ郡山が本県沖を震源とした地震の影響で閉店。同年8月には県内最多44レーンを誇ったボウルアピア郡山(旧ダイマツボウル)が閉鎖した。美桜里さんも一時期、福島市の施設まで通い練習に励んだ。

 2022年3月、レーンを備えたボウリング用品店が郡山市安積3丁目にオープンしたが、間もなくして運営会社から事業撤退の方針が示された。「身近に練習を積むことができ、気軽にボウリングが楽しめる場所を残そう」。清水さんや山内さん、美桜里さんの父貴之さん(39)らが声をかけ合い、今年2月に合同会社を設立。地域密着型のボウリング場として、再スタートを切った。

 「すまいるボウル」の名称は清水さんが子どもでも読めるようにと平仮名と片仮名で表記し、プレーで笑顔になってほしいとの思いを込めた。幅広い年代のボウリング愛好者約220人が会員登録した。

 美桜里さんは「将来は教える立場になってボウリングの面白さを伝えていく」と夢を描く。清水さんは「美桜里さんの夢はすまいるボウルに携わるみんなの夢。全力で応援していきたい」と誓う。

© 株式会社福島民報社