机をたたき怒鳴った取り調べ「記憶ない」が「思い出した」に 検事が証言を覆す プレサンス事件で無罪確定した元社長の裁判

巨額横領事件で逮捕・起訴され、裁判で無罪が確定した不動産会社の元社長が国を訴えた裁判。

前回の裁判で威圧的な取り調べをしたことはないと答えていた検事が、わずか4日でその証言を翻す事態となった。

「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん。5年前、学校法人との土地取引で21億円を横領したとして、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたが、裁判で無罪が確定した。部下が威圧的な取り調べを受け、うその自白をしたことから罪に問われた山岸さんは、「違法な捜査」の責任を問い、国を訴えた。

■主任検事が過去に“机をたたいて怒鳴る“取り調べをしたこと「思い出しました」

その裁判で18日、尋問を受けたのは、捜査を主導し逮捕・起訴の判断の責任を負う「主任」、蜂須賀三紀雄検事。

18日の証人尋問では、弁護側が、別の検事が机をたたいたり怒鳴ったりする、山岸さんの部下の取り調べの映像を見たのかと問うと、蜂須賀検事は「見た記憶はない」と述べた。

また、前回の証人尋問では、自分自身が威圧的な取り調べをしたことがあるか聞かれた際、「ない」と明言していたが、弁護側が18日に新たな証拠を提出し、流れが変わった。

蜂須賀検事が過去の事件で「机をたたいて怒鳴る」取り調べをしたと、自身が証言した裁判の記録が読み上げられたのだ。

山岸さんの弁護団 秋田真志弁護士(記録を読み上げ):『取り調べ中、机たたいて怒鳴ることあった?』『はい』『どれぐらい?』『数回』。

蜂須賀三紀雄検事は、「思い出しました」と証言を変えた。

■「自分(主任検事)がしてきたことと同じだから問題視をしなかった」

果たして法廷で「真実」は語られているのか。

山岸忍さん:尋問に対して的確に答えると彼らは不利になるから隠ぺいする。もっと潔い態度で臨んでいただきたかったなと思います。

山岸さんの弁護団 秋田真志弁護士:(蜂須賀検事が)指摘をされても録音録画を見なかったということを言っていて。そりゃそうでしょ、ご自身がやってたことと全く同じことをしていたわけだし、自分がしてきたことと同じ調べをしているだけのことですから、問題視をしなかった。

裁判では今年度内にも、国側に賠償責任があるかどうかの中間判決が言い渡される予定だ。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月18日放送)

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