被災地で保護された猫3匹 高校生らが里親探しに奮闘 それぞれの特徴・性格を譲渡会でアピール【広島発】

能登半島地震後に被災地で保護され、はるばる広島まで来た猫3匹が、高校生が企画した保護動物譲渡会に参加した。保護された犬や猫たちの命の尊さを譲渡会でいかに伝えるか。悩みながらも奮闘する高校生らに密着した。

被災地から来た猫たちに寄り添う

広島市内の高校で行われた保護動物の譲渡会を企画したのは、進徳女子高校の動物愛護サークル。

保護された犬や猫を育てるには、動物愛護センターやボランティアの手だけでは限界があり、譲渡会での里親探しは重要なイベントとなっている。

今回の譲渡会には、能登半島地震の被災地で保護された猫3匹が参加。なぜ、はるばる広島までやって来たかというと、石川県の動物愛護センターの要請を受け、広島のボランティアグループが被災地から連れて帰ってきたからだ。

連れて帰ってきた5月初めは、全く人に慣れていない状態だったという猫。

保護動物ボランティア団体 ワンミャツダクラブ・荷堂美紀代表は「特定の飼い主が家で飼っていた猫は、人に慣れていて、里親が決まりやすいですが、そうでない猫は難しいです」と説明した。

高校生たちは、被災後、ペットは飼い主とともに避難できたのか、避難できなかったペットはどうなったのかが気になり、猫を連れ帰ったボランティア団体に現地の状況を聞くことから始めた。

進徳女子高 動物愛護サークル メンバー:
被災地で、犬、猫が一緒に行けるところが、どのくらいあったのかが気になります。

ワンミャツダクラブ・荷堂美紀代表:
発災直後は、ペットと避難できる場所が、1カ所しかなかったという話を聞きました。それくらい混乱状態で、避難所にペットを連れて行っていいかどうかも決まっていなかったようです。

災害が発生すると、ペットも一緒に避難できる場所は多くはないことが、荷堂さんの話から少しずつ分かってきた。

進徳女子高校3年生・河井実咲さんは「現地の動物たちが、どうなっていたのかが気になっていたので、知ることができてよかった」と話した。

譲渡会では、そんな被災地でのペットの状況を説明したうえで、里親を探すことにした。

準備は譲渡会の2日前からメンバー総出で始まった。これまでに学んだペット防災の発表展示も行うことに。エントリーした犬や猫の特徴から性格を盛り込んだ、それぞれの詳しいプロフィールも用意できた。

メンバーたちにとっては、一匹一匹が大切な命。被災地から来た猫たちはどう紹介するのだろうか?

進徳女子高校3年生・吉本こころさん:
あそこの壁に飾ろうと思っていますが、まだできていない。どうすれば伝わるか迷っています。

説明の仕方に悩みながら譲渡会当日の6月9日を迎えた。

被災地からの3匹は自分たちの言葉で説明

譲渡会当日、被災地から来た猫たちの専用のブースをつくってアピール。

「この子たちが『どんな子なのか』『どういう経緯でここに来たのか』を伝えたい」と話す、進徳女子高校3年生の河井実咲さん。これまで「調べたこと」「感じたこと」を自分たちの言葉で話すと、多くの人が猫たちに関心を示した。

--みんな話を聞いてくれる?

進徳女子高校2年生・山田桃花さん:
聞いてくれます。ちゃんと向き合ってくれて、話をするときも、うなずいたり、相づちを打ったりしてくれます。譲渡を検討しようかなという人もいます。

しかし、この日、被災地からの猫たちの里親は決まらなかった。里親が決まったのは、ほかの猫3匹だけで犬はゼロだった。

終了後のミーティングでは、参加してくれた保護ボランティアさんに申し訳ない気持ちで一杯になり、涙を目に浮かべるメンバーも。その時、ボランティアの一人が手を上げた。

参加した保護主ボランティア:
譲渡の数にこだわっているようですが、私たちはそうではなくて、譲渡会を継続してもらって、そこから1匹でも里親が見つかればOKなのです。なので継続して頑張って協力してもらえることに価値を見出していますので、今後ともよろしくお願いします

このボランティアの言葉にメンバーらは励まされ、前向きになることができたようだ。

進徳女子高校3年生・吉本こころさん:
今回決まらなかったので、やめようではなくて、決まらなかったら、次に何かを工夫して、またやろうというふうに、続けるのが1番だと思う

保護される動物たちは今も増え続けているという。災害が発生すると、人とペットに何が起こるのか。自分たちには何ができるのか。動物たちの命の尊さを訴えながら、高校生らの活動は続く。

(テレビ新広島)

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