カスミ/「ブランデ三郷店」オープン、売上目標32億円の大型実験店

カスミは6月20日、埼玉県三郷市で「BLANDE MISATO(ブランデ三郷店)」をオープンする。

<店舗外観>

JR武蔵野線「三郷駅」の南側に位置する3階建ての店舗で、カスミが注力する最新業態「ブランデ」の3号店目。売場面積3044m2と同社内でも最大規模の広さを誇り、あらゆる客層に向けた取組を導入した実験店となる。年商目標は32億円。商圏は、1次商圏(0~0.5㎞)2662世帯、2次商圏(0.5~1㎞)1万121世帯、3次商圏(1~2㎞)2万2855世帯としている。

焼き立てベーカリーと、時間帯別に異なる商品を楽しめる「DELY BREAD Cafe&Bar」を導入するほか、買物の途中でワインをテイスティングできる「WINE&BAR」、生鮮の対面販売、旬の食材の試食やメニュー提案を行う「クッキングコミュニケーション」などのコーナーを設置する。ココカラファインやフィットネスジムなどの専門店も入居し、売場内にはダイソーも出店した。

なお、物件は1978年にサティとして営業し、2005年からカスミ三郷駅前を核店舗とするワオシティ三郷としてオープンしたもの。老朽化で、2021年に一時閉店した。その後、近隣にカスミ三郷駅前店の仮店舗を設け、約3年間にわたり営業。今回、ブランデに刷新した。

<塚田社長>

新店舗について、塚田英明 社長は「あらゆる客層・世代をターゲットにしたいと思っており、それが実現できるかどうかを試す。イートインの中にも売場を作るなど、これまで当社がやらなかった取組を行う。店舗以外に活用できるスペースを設け、自分たちでマーケティングしながら商品開発も実験できる。学びを共有するにはそれなりのスペースが必要。自分たちの中で試したり共有する場にしたい。

(既存のブランデ2店舗がある)つくば周辺に住むファミリー層は30~40代が多いが、実際に店舗へ来られる方はもっと若い世代が多く、3世帯で来られる方々も多かった。世代ごとに商品を絞ることはスーパーマーケットとして良くないのではと考え、新店ではさまざまなことを試す。

レイアウト・売り方・MDを変えたがサービスは変えず、通常の買物体験に加えてブランデならではの価値を提供する」と述べた。

ブランデの既存店舗は、茨城県つくば市に2店舗出店しており、1号店「つくば並木店」は2022年にオープン。これまでの営業で、つくば市内のみならず遠方からの来店者も多くいることが判明した。そこで遠方の顧客を狙う際に、つくば市以外の場所に3号店を出店したいと考えたという。

<唐紙マネジャー>

取り扱い商品について、唐紙裕昭 商品本部マネジャーは「通常のフードスクエア商品を取り入れながら、ブランデらしい商品を充実させる。総勢13000SKU取り扱い、このうちオリジナル商品『Miil(ミール)』は1063SKU、新規商品は約2000SKU、ディスカウント品1800SKUを導入した。

『ミール』の新商品は少なく、改廃を進めている最中だ。U.S.M.HグループのPB『イータイム』やイオン『トップバリュ』なども扱う中で、どう住み分けるかを決めながら変えていく。物価高が落ち着いたため、これから一気に展開を進める。ミールを通常品に作り替えてフードマーケットに出すことも行っていく」と説明する。

<2階入口正面のフルーツ売場>

SMの売場は2階に設けてあり、1階からエスカレーターを昇った先にはフルーツ売場が広がる。すいかを始めとした旬の果物を取りそろえるほか、フルーツタルトなどのスイーツも充実。「彩」を意識した売場とした。

<摘みたてサラダ>

野菜も充実させ、色とりどりのバラ売り野菜や、ミール「摘みたてサラダ」などを集合展開する。

<鮮魚コーナー>

鮮魚コーナーには、日本全国から種類豊富に魚介類が集まり、毎日40種以上品ぞろえする対面販売コーナーを設置した。産地・鮮度に加え、輸送方法や切り方までこだわり、生ネタに特化した寿司などブランデならではのおいしさを提供。対面販売では、加工調理も承る。

<冷凍寿司>

店内製造の寿司を急速冷凍し、食材の鮮度感や風味を閉じ込めた「冷凍寿司」も販売する。ブランデ自慢の寿司を自宅にストックできるようになった。

<折本マネジャー>

折本文孝 店舗開発部マネジャーは「急速冷凍機を導入した。寿司や焼肉・ステーキ」は冷凍機にかけて販売する。バックルームのスペースの余裕を持たせて店舗開発した」と述べた。

<精肉コーナー>

精肉コーナーでは、オーダーカットや料理用途に合わせた部位の提案など、店内加工を活かした商品を対面販売で提供。売場では茨城県産のブランド豚「ローズポーク」や、ミール「亜麻仁の恵み牛」「ローストビーフ」なども取り扱う。

<冷食コーナー>

冷凍食品コーナーでは、特に冷凍スイーツに注力し、「ショートケーキ缶」やミール「カタラーナ」、全国のご当地アイスクリームなどを充実させた。簡便・即食ニーズに応える定番品のほか、スープストックトーキョー、人気店のラーメン各種、韓国グルメ「ポチャ」、ミールの「手焼きピッツァ」なども並ぶ。

<総菜コーナー>

総菜コーナーでは、和洋中の好きなおかずやご飯を組み合わせて作る、選べる総菜「Deli Selection」が登場。「ミート」「フィッシュ」「アジアン」のおかず類、主食、サラダを組み合わせることで、セット割引が適応される。単品でも購入可能だ。天ぷらや焼き鳥串などバラ売り総菜も販売する。

<WINE&BAR>

WINE&BARでは、カスミのソムリエが常駐。酒類の有料試飲と量り売りを行う。8種類の中から選べる「今月のソムリエお薦め」のほか、サッポロビール、国産希少ウイスキー、ベルギー産ワインなど提供する(20日開始。営業時間は11時~21時30分、オーダーストップ21時)。

<DELY BREAD>

店内で焼き上げたベーカリーと、淹れたてコーヒーを楽しめるカフェスペース「DELY BREAD Cafe&Bar」は、買物の合間にくつろげる憩いの空間。エスプレッソに加え、スムージーやムレスナティーの紅茶なども用意する。ブランデオリジナルのチーズティラミスにパンケーキ、BEYOND MEATを使用した野菜カレーなども注文でき、イートインスペースで食事可能だ。

時間帯によって異なるメニューを楽しめる「モーニング」「アフタヌーンティー」「バー」の時間を設け、多様なニーズに応えていく(バーは6月20日、ほか7月1日開始)。

<イートイン内に売場も>

イートイン内にも売場を設け、セレクトショップ「羽田甚商店」のアイテムや、チョコレートを販売している。

<クッキング・コミュニケーションコーナー>

店内中央には、新商品の試食などを行える「クッキング・コミュニケーションコーナー」を設置。店内で販売する旬の食材を使った料理の実演とメニュー提案を行うとともに、商品選択に役立つ情報などを案内する。プレオープン時には、ミールのドレッシングを紹介していた。

<ブランデの会員制度>

また、ブランデでは会員制度「BLANDE Prime」に加入することもできる。オンラインデリバリー配送料無料などの特典を受けられる有料会員の数は、現在約1万8000人にも上るという。

<ダイソー>

店内にはダイソーの日用雑貨も並ぶ。会計はカスミのレジで行う。

このほか、3階にはフィットネスジムと美容室が出店。今後オープンする専門店について、折本マネジャーは「1階には、7月にモスバーガー、スマートゴルフを出店する。3階は、小児科・歯科・調剤薬局・内科・外科・耳鼻科などのクリニックを誘致している」と説明した。

<塚田社長>

また、今後のブランデ出店について塚田社長は「今期中にもう1店舗出店したい。次回も、これまでとは異なる形態を試す。計4店舗ブランデを営業して検証する。きちんとした答えが出たら、競争力を高めるために出店を加速させたい」と方針を掲げた。

■BLANDE三郷店
開店日:2024年6月20日(プレオープン6月19日)
所在地:埼玉県三郷市三郷1-3-1
TEL:048-954-9055
アクセス:JR武蔵野線 三郷駅より徒歩約5分
営業時間:10時~22時(プレオープンは10時~18時)
売場面積:3044m2(921坪)
延床面積:14257.85m2(4313坪)
駐車台数:127台
駐輪台数:276台
年商目標:32億円
従業員数:正社員32名、パ-ト・アルバイト108名(7.75時間換算)
主要商圏:3万5638世帯(1次商圏0~0.5㎞2662世帯、2次商圏0.5~1㎞1万121世帯、3次商圏1~2㎞2万2855世帯)

取材・執筆 古川勝平

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