プール老朽化、教員の負担軽減…変わる学校の水泳授業 進む「校外移行」メリットは(鳥取・島根)

学校の水泳授業についてです。
全国的にみると、プールの老朽化などを理由に一部の自治体で学校外の施設での授業に切り替わっているところもあります。
こうしたなか山陰でも検討が進められています。

米子市・浦林実教育長:
「学校のプール施設の新築、改築は行わないことを基本とするとしたところ」

米子市の場合、市教委が、猛暑や豪雨で使用頻度が減少していることや施設の老朽化などを理由に、今後、市立の小中学校ではプールの新築や改築は行わず、25年度以降は学校外の公営、民営のプールを活用するという基本方針を示しています。
こうしたなか、19日の市議会の一般質問では…

米子市議会・奥岩浩基議員:
「地域をいくつかに分けて、そこに新設のプールを複数おいて、このプールを何校かで共有して使っていく考えはあるのではないか」

プールまでのバスの移動は時間がかかる学校もあるとして、地域ごとに複数校で共同利用できるプールの新設を求める声が上がりました。

米子市教委・長谷川和秀事務局長:
「現時点では、学校施設として共同利用できる新たな施設設置の考えはありません」

市教委は各学校からプールへは片道約20分以内で移動できるなどとして、共同利用をはじめ、新設のプールは設置しないとの考えを改めて示しました。
そして、水泳の授業の学校外への移行という基本方針に変わりはないとして、引き続き、関係者に理解を求めるため、説明していくとしています。
米子市で学校外への移行が検討される中、島根県江津市の江津東小学校では…

櫃田優果記者:
「これから3時間目の授業が始まるのですが、児童がバスへと乗り込んでいきます」

4年生から6年生40人を乗せたバスが向かったのは、車で15分ほどの距離にある市内のプール施設です。
ここで行われているのは水泳の授業です。

児童:
「楽しかった。クロール習った」
「みんなで楽しくできて良かったです」

この小学校では、水道管の水漏れなど、23年からプールの老朽化が問題となっていて、修繕に多額の費用がかかることから、24年度から水泳の授業をこのプールで行っています。
水泳授業の「校外への移行」。
学校側はメリットを感じています。

江津東小学校6年生担任・山内優志先生:
「教員として負担が軽くなったなと思います。ここに来たら、水質もベストな状態に施設の人がしてくださってますし」

教員が指導するのは変わりませんが、これまで必要だったシーズン前のプール掃除や毎日の水質管理などがなくなったことで、教員の負担軽減につながっているといいます。
メリットはほかにも…

江津東小学校6年生担任・山内優志先生:
「天候や気温、水温に左右されずに毎回授業できるので、とてもありがたく思っています」

屋内プールでは悪天候や熱中症の心配がなく、安定して授業を消化できます。
さらに、低学年の児童向けに水深の浅いプールもあり、安全面でもメリットがあります。

江津東小学校6年生担任・山内優志先生:
Q水泳授業について
「重要な学習だと思っています。自分の命を守るという意味で、最低でも10m、15mは泳げるように(指導していきたい)」

こうしたメリットの一方、バスでの移動に時間がかかる分、泳ぐ時間を充分に確保できないという課題もあるということです。
全国的にも見直される水泳授業のあり方。
それぞれの自治体、それぞれの学校の状況に応じた柔軟な運用が必要となりそうです。

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