福島第一原発で冷却機能10時間停止 「結果的に問題なし」も問われる教訓 廃炉に向け急がれる原因究明

6月18日トラブルが発生した福島第一原子力発電所6号機。使用済み燃料プールの冷却は10時間にわたりストップした。

東京電力の担当者:「冷却停止が継続していても安全上問題ないのが1つです」

トラブルから一夜明け、「問題はなかった」と繰り返し強調した東京電力の担当者。
福島第一原子力発電所の6号機では、18日施設の一部で停電が発生し、使用済み燃料プールの冷却が停止した。

安全性の確認を優先させたため、冷却が再開されたのは停止から約10時間が経った午後6時過ぎ。使用済み燃料プールには1478体の燃料が保管されていて、冷却が止まっていた間に、温度は22.0℃から1.5℃上昇した。
東京電力は…。

東京電力の担当者は、会見で「(プール温度は)20日くらい冷却が止まっても60℃程度までの上昇ということ。10時間ということであれば、特に対応としては問題がなかったと考えています」と述べた。

東京電力は、ケーブルの損傷が停電につながった可能性もあるとみて、19日も原因を調べている。

<記者解説>
ーー今回のトラブル「問題はない」とのことだが、冷却が止まること、本当に問題なしと言えるのか。

まず、今回のトラブル対応の結果だが、「結果的に問題はなかった」という結論になるかと思う。そもそも、使用済み燃料は熱を放出し続けるため、燃料プールに保管されポンプを使い水で冷却されている。

この冷却には関しては、いくつかポイントになる温度がある。
10時間の冷却停止によって、使用済み燃料プールの温度は22℃から23.5℃に上昇した。東京電力は、6号機の場合、20日間冷却が停止すると60℃くらいまで上昇するとしている。そして、法律に基づく「実施計画」の違反となるのが65℃。「燃料プールの周りのコンクリートの健全性に問題が生じる可能性」があるためだ。
しかし、実際には40℃でも湯気で湿度が上昇し、周りの機器に障害が出る可能性がある。
大前提として、東京電力には、トラブルなくきちんと冷却し続けることが求められている。

ーー冷却停止の引き金となった停電の発生自体に問題があるのではないか?

仮に原因がケーブルや設備の劣化だったとしたら、第一原発の中にある大量の電源設備を総点検、ということにもなりかねない。
今回は使用済み燃料プールだったが、原子炉そのものの冷却や温度・水位の監視などにも電源は使われている。廃炉作業の安全のためにも原因究明を急いでほしい。

そして、6号機をめぐっては、6月18日タービン建屋の地下1階で火災警報器が作動し、煙が確認されるトラブルも起きている。
東京電力は19日、消防から“火災”と判断されたと公表し、現場の写真を新たに公表した。6号機のタービン建屋の地下にあるダクトの内部。すすけているのが分かり、ここから煙が出たとみられている。
停電の原因となった電源盤に電気を流す設備の一部で、東京電力は「損傷した原因は
調べ切れていない」としている。

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