【識者推奨|大岩Jのパリ五輪メンバー】藤尾とタイプが似ている細谷は選外に。中盤は藤田と荒木が当確。微妙な立ち位置の松木は...

7月末にパリ・オリンピックが開幕する。4年に一度の大舞台に挑むメンバーはどんな顔ぶれになるか。ここでは、サッカーライターの清水英斗氏が推奨するU-23日本代表の18人を紹介する。

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7月24日に初戦のパラグアイ戦を迎える、パリ五輪・男子サッカー。登録メンバーは7月3日の記者会見で発表される予定だが、逸る気持ちをあえて抑えず、一足先に18人の推奨リストを作ってみた。

独断と偏見交じりだが、現時点でクラブから招集を拒否された(と見られる)選手は除き、現実味を残した。

FW:上田綺世(OA)、藤尾翔太、内野航太郎、斉藤光毅、三戸舜介、平河悠
MF:遠藤航(OA)、藤田譲瑠チマ、松木玖生、荒木遼太郎
DF:板倉滉(OA)、高井幸大、西尾隆矢、関根大輝、半田陸、大畑歩夢
GK:小久保玲央ブライアン、鈴木彩艶

GKは小久保と鈴木で疑いなしだ。ただし、どちらも大器だけにファーストチョイスは難しい。小久保は身のこなしが軽く、足離れがいい。一方の鈴木はディストリビューションなど配球面で上回る。

今季クラブの出場機会が多いことは、鈴木を強く推せる点だが、一方の小久保も短期決戦でチームを流れに乗せるパーソナリティを持っているので、やや上位に置いた。

次はDF。過去に成功した五輪を踏まえ、統率力のあるオーバーエイジを一人は入れたい。先日のアメリカ遠征では、最終予選で右CBに入った高井を左CBで起用したが、これは右CBに板倉を招集する布石とも受け取れる。

高井は最終予選、あるいは最近の川崎の試合を見ても、一皮剥けた感がある。A代表の主力CBと組ませ、大器の開放を期待したい。サブは西尾だ。

SBは最終予選でプレーした関根と大畑がファーストチョイス。大畑は空中戦など守備面の不安はあるが、左利きのプレースキッカーとしても価値がある。この大岩剛監督が指揮する五輪代表は、セットプレーが武器なので、左右のキッカーは常にピッチに残したい。他のポジションで左利きが減少気味であるだけに、大畑は貴重に映った。

半田はアメリカ戦で試合中に左右のSBをこなした。この汎用性は18人登録に限られる五輪では重要なポイントだ。彼もメンバーに入るはず。ビルドアップが巧みで、関根とは特徴が違うので、試合に変化も付くだろう。また、遠藤がボランチに入るなら、関根より半田をファーストチョイスとし、ビルドアップをサポートさせる手もある。DFは以上6人だ。

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MFはオーバーエイジ選出が最有力とされる遠藤と、この世代のキャプテン藤田に加え、2列目で違いを出せる荒木を当確と考えた。遠藤が加わる場合、松木は微妙な立ち位置だが、国際試合の経験やメンタリティ、汎用性を含めてサブに残した。MFは以上4人だ。

FWは両ウイングに斉藤、三戸、平河の3人。クロスの供給力は申し分ない。三戸についてはアメリカ戦で後半にインサイドハーフで起用されたように、真ん中のMFとしても計算できる。MFは守備的3人、攻撃的1人の合計4人と少数選考だったが、これはFWからのスライド起用を合わせた構成だ。

最後にセンターフォワードは一番悩んだ箇所だったが、オーバーエイジの上田、藤尾、内野をチョイスした。

正直、鈴木唯人が招集可能なら、この構成にはしなかったが、最も得点力のある彼はクラブから招集を断られてしまった。となれば、点を取れるストライカーを補強しなければならない。第一希望は上田だ。

このチームはサイド攻撃とクロス、セットプレーが武器なので、中で仕留めるFWの確保は最優先。そのため、遠藤と共に噂される守田英正ではなく、上田をオーバーエイジの3人目に選んだ。

同じくクロスから点を取れる選手は、サブにも欲しい。先日、天皇杯のFC町田ゼルビア戦でスーパーゴールを決めた筑波大の内野は、その太いメンタリティ、身体サイズ、シュート力、冷静なPKを含め、非常に気になる選手だ。

6月で20歳と若く、荒削りなのでスタメン起用は難しいが、上田がゴールに迫れない時、内野を投入した2トップによる火力アップを考えた。さらに藤尾をサイドに入れて、3人で突っ込ませてもいい。

だが、その結果、最終予選の功労者である細谷真大をリストから消す決断を迫られた。藤尾とタイプが似ているので、18人登録では2択に行き着き、藤尾を優先した。

繰り返すが、鈴木唯が招集可能なら、このリストにはならなかった。今後、大岩監督が18人のリストを作り、発表するうえで、最も頭を悩ませる点になるのではないか。

文●清水英斗(サッカーライター)

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