支配下登録即プロ初勝利!“大型左腕”佐藤一磨が立てた指揮官や先輩への恩返しの誓い【オリ熱コラム2024】

2019年の育成ドラフト1位でオリックスが指名した高卒5年目の左腕・佐藤一磨が、6月8日に支配下登録をつかみ取った。昨季、佐藤はファームで8勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。「今年が勝負の年」という強い気持ちで、春季キャンプから190センチの長身を生かした球を投げ込んでいた。

残念ながら開幕前に支配下登録の吉報は届かなかったが、その日が来るのを夢見ながらファームで好投を続けた結果、6月5日に地元の横浜戦で一軍に合流。前日の夜に呼ばれたという佐藤は「やっぱりずっとファームの方でピッチングを見ていただいてて、自分の中のいろんな課題とかを小林(宏=二軍)監督やコーチに指摘されて、その中でちょっとずつ上手くなってきたのがまとまってきて。で、試合の結果に出てきたと思う」と今年改善できた点について話していた。「真っ直ぐはとてもいいので、それをゾーンの中で勝負できてるっていう部分が年々良くなっていきたいと思っているので、ファームと変わらずゾーンの中で自分の球を投げたい」と意気込みを語っている。

それから2日後の東京ドームでの練習中、「001」のユニフォームを着た佐藤がブルペンへ向かう姿が見られた。「もしや?」と思っていたら、翌日に支配下登録。9日の巨人戦で先発することが発表された。登板前日の佐藤は「緊張はガチガチにしてます」と話していたが、やっとつかむ事ができた支配下に登録された喜びは隠せない様子だった。
「まずホントに1年目からのことを考えたら、ここまで根気よく見ていただいたオリックスの方々に感謝をして、それを恩返しできるようなマウンドにできたらなという風に思います。もう自分の持ってる球をストライクゾーンにどんどん投げて、バッターがどうかなっていうところになると思います」と改めて気合いを入れ直し、背番号「93」の真新しいユニフォームを着用して東京ドームのマウンドに上がった。

初回に一死二塁というピンチを招くも「このランナーはOK」と気持ちを割り切って、次の打者との勝負に臨むことができた。佐藤のデビュー戦を祝福するかのように、打線は巨人の先発・菅野智之を初回から捕まえて、西川龍馬のタイムリー、紅林の犠牲フライで2点を先制。佐藤から「たくさん点を取って」と言われた紅林は同級生のリクエストに見事応えてみせた。最終的に佐藤は5回を投げて被安打1、無失点というデビュー戦らしからぬ投球で初めて白星を手にした。

試合後、中嶋聡監督は「良くなりました。ホントにそれ以外ないですね。もっと暴れるかと思ったんですけどね。課題はまだまだあるピッチャーですけど、今日はよく投げたと思います」と高評価を与えた。佐藤は中嶋監督が二軍監督時代に入団してきた一人とあって、「ファームで初めて先発した時はとんでもないことになりましたけど。あれを想像したらどうしようかなと思ったんですけど、逆に逆で言ってくれてホントに嬉しかった」と感慨深い表情で佐藤のデビュー戦を振り返るとともにメンタルの強さも指摘していた。

ベンチでは佐藤に対して、高校の先輩である宗佑磨が「いいぞ」と隣で声をかけ続けていたそうだ。「宗さんには感謝してます。とにかく支配下になったからには、オリックスにいる以上はチームに1勝でも貢献できるようにしたい。まだまだ練習しないといけないことがたくさんあるので、そこはもう育成の時と変わらず1勝でも勝てるように目指していきたい」と、指揮官や先輩たちに恩返しを誓った佐藤。今後の成長を期待したい。

取材・文⚫︎どら増田
写真⚫︎野口航志

© 日本スポーツ企画出版社