【ビールを通じて感じる韓国㉔】東海岸の江陵でクラフトビール<前編> ポドゥナムブルワリー(Budnamu Brewery)を再訪

以前、韓国へ年数回通っていた私は、街で飲まれているビールや売っているビールの変化を体感するのと合わせて、クラフトビールを提供しているブルワリーのタップルームをよく訪問していました。
1年半前に4年ぶりに韓国への渡航を再開することができ、まず頭にあったのは以前に訪問したことのあるタップルームの再訪でした。渡航できなかった間にどう変わっているのか、なくなってしまったのではないか…とても心配していましたが、ほとんどのお店はそのまま営業を続けていて、変わらず美味しいビールが提供されていて嬉しく思いました。
そして今年4月、地方都市なので残ってしまっていた、江陵(강릉・Gangneung・カンヌン)市にあるポドゥナムブルワリー(버드나무 브루어리・Budnamu Brewery)が、旧知のブルワリーの再訪の最後になりました。ポドゥナムブルワリーは6年ぶり2回目の訪問です。

江陵市とは…

韓国東北部にある江陵市は東側は日本海に面し、夏には海水浴客賑わう美しいビーチが続く東海岸の港町です。

また、2018年に開催された平昌(평창・Pyeongchang・ピョンチャン)冬季オリンピックで、フィギュアスケート、スピードスケート、カーリングなど各種室内競技の会場にもなった場所です。

ソウルから江陵に向かう

ソウルから江陵に行くには、KTX(韓国高速鉄道・Korea Train Express)もしくは高速バスを利用することになります
ソウル駅から江陵まではKTXで2時間弱、高速バスだとソウル高速バスターミナルから約2時間30分ほどかかります。今回は行きは高速バスを利用することにしました。ポドゥナムブルワリーのタップルームに行くには、KTXの江陵駅からより江陵バスターミナルからのほうが距離が短いからです。
ソウル高速バスターミナルは、ソウル地下鉄3・7・9号線の高速ターミナル駅と地下通路で直結している大型バスターミナルです。本館にある韓国東南部の釜山などを結ぶ京釜線と、別館にある韓国東部の江原道方面を結ぶ嶺東線のふたつの乗り場に分かれています。京釜線と嶺東線の乗り場はL字型でつながっており、1階で行き来することができます。

この日は9時少し前に、9時20分発の江陵行きのバスチケットを買うことができました。3列シートの優等バスで24600ウォン(約2710円)でした。

途中1か所での休憩を挟み、高速道路が少し混んでいたところがあった影響があり約3時間かかって江陵バスターミナルへ到着しました。

ポドゥナムブルワリーへ

ポドゥナムブルワリー

ポドゥナムブルワリーは、江陵市に2015年に誕生したブルワリーです。1926年に設立され、2014年に廃業した「江陵濁酒工場」を引き受けて改装してオープンしました。ちなみにポドゥナム(버드나무)とは韓国語で柳のことです。
ここのビールには原料として、米、蕎麦、菊、じゃがいも、トウモロコシ、柿、イチゴなども使われており、それらはすべて地元の農家と提携しての調達。「韓国固有の伝統酒の材料と地域の食材を活用し、韓国ならではの風味と個性豊かなクラフトビールを造る」という意志を持って経営しているブルワリーです。

江陵バスターミナルから歩く

江陵バスターミナルからはタクシーに乗ることもできますが、私はポドゥナムブルワリーまで歩くことにしました。途中は林や古い家があったという記憶だったのですが、高層マンションに変わった場所もあり、以前来たときから約6年という年月がたったことを実感しました。

建物の内部

建物の入り口を入ると、まず右手に醸造設備やオーク樽が目に入ります。左側にはタップと持ち帰り用の瓶ビールやグッズが並べられていました。

店内は広々としていて、中央には樹木が植えられています。天井は高く、韓国の伝統家屋らしさも感じる独特な構造です。

ビールと料理を楽しむ

ここの定番ビールは、Minori Session(アルコール分4.7%・IBU28)、Zeumeu Blanc(アルコール分5.3%・IBU8)、Haslla IPA(アルコール分6.1%・IBU41)、Baegilhong Red Ale(アルコール分6.2%・IBU32)の4種類。まずはそのサンプラーを注文しました。180ml×4種類で18000ウォン(約1980円)です。メニューは、ビールの説明も韓国語だけでなく英語でも書いてありわかりやすかったです。
使われているグラスには、それぞれ버、드、나、무の文字が入っていて合わせてブルワリー名になっています。 おつまみは無料でついてきました。

料理はピザが4種類のほか、ハンバーガー、パスタ、揚げ物、BBQなどありましたが、私が頼んだのはイカ焼き。海が近いこともあり、とても美味しかったです。

追加で頼んだビールはシーズナルでアルコール分4%、IBU30のNitro Poter。450mlで7000ウォン(約770円)でした。ポーターとなっていましたが、爽やかでスムースに飲めるビールでした。

テラス席

この日は天気がよく、ちょっと迷ったのがテラス席の利用。結局、建物内で飲むことにしましたが、テラス席は中庭にあり、こちらもいい雰囲気でした。

以前の訪問から時間が経っているので細かな違いがあってもわからなかったとは思いますが、少なくとも以前と同じいい雰囲気で美味しいビールが提供されていることが確認できたのでいい再訪でした。

飲食した会計の際に合わせて瓶ビール1本と栓抜きを買おうとしたら、栓抜きは「プレゼント」といただけることになりました。とても嬉しく、わざわざ江陵まできてよかったと感じました。

江陵駅へ歩き始める

ポドゥナムブルワリーの目の前にバス停はありますが、次のバスは1時間ぐらい待たないと来ないようでした。

(続く…)

後編は、ポドゥナムブルワリーから江陵駅までと、江陵にあるもうひとつのブルワリーの話になります。

◎ポドゥナムブルワリー(버드나무 브루어리・Budnamu Brewery)
所在地:강원도 강릉시 경강로1961(1961 Gyeonggang-ro, Gangneung-si, Gangwon-do)
営業時間:12:00~23:00

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2020)」BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています

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