女子ツアーシューズ勢力図に異変 FJとナイキの二強にアディダスとNBが肉薄

プロライトのソールを確かめる原英莉花(撮影/服部謙二郎)

ことしは男子も女子も足元の動きが目立つ。スイングの話ではない。プロの履いているシューズがコロコロと変わっているのだ。

男子ツアーでいえば、今季から石川遼がニューバランス(NB)にしたのはご存じの方も多いだろう。中島啓太のナイキ→アディダスも話題になった。女子ツアーでも動きは多い。依然としてナイキの選手は多いが、契約フリーの原英莉花がフットジョイ(FJ)を選んだり、ニューバランスやアディダスの利用者も目立つなど、その勢力図は変わりつつある。

アディダスのシューズを愛用する上田桃子(撮影/服部謙二郎)

先週の「ニチレイレディス」での使用状況を調べると、フットジョイが26.9%、ナイキが21.3%、ニューバランスが13.9%、アディダスが13%、エコーが11%、プーマが7.4%(編集部調べ、以下同)と続いた。

6月初旬の「サントリーレディス」ではフットジョイが26.7%、ナイキが17.2%、アディダスが13.8%、エコーが12.9%、ニューバランスが12.1%、プーマが8.3%だった。ことしの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」では、ナイキがフットジョイをわずかに上回っていたが、ここ最近はフットジョイが使用率NO.1をキープしている。

河本結はナイキのシューズがお気に入り(撮影/服部謙二郎)

関係者に話を聞くと、過去数年間はナイキユーザーが突出していたが、昨年ごろからナイキとフットジョイの使用者数が肉薄。さらにアディダス、ニューバランス、エコーも数を増やし、そこにプーマも含めた“6強”がバッチバチの覇権争いをしている。それぞれのメーカーは契約選手と契約外がおり、例えばフットジョイは「ニチレイレディス」時の使用者の約3分の1が契約外だった。

新しいシューズのフィッティング(撮影/服部謙二郎)

それにしても、なぜフットジョイがここまで勢力を伸ばしているのだろうか。取材を進めて分かった理由の一つに、地道にフィッティングをしてきた事実が挙げられる。スタッフに話を聞くと、数年前よりナショナルチームの合宿に足を運び、選手へのフィッティングを行ってきたという。

アマチュアの頃からサポートを受けた選手がプロになり、活躍を始め、ジワジワとツアー使用者が増えてきたことが想像できる。また、ツアーでのフィッティングも盛ん。今週も練習グリーン脇で新しいシューズ「プロライト」のフィッティングを行っていた。

新しいプロライトをフィッティングする原英莉花(撮影/服部謙二郎)

実際に足のサイズを測っていた原は「元々スパイクレスが嫌いだったんですが、滑らないし、しっかり噛んでくれるシューズがあったのでスパイクレスになりました。そのきっかけになったのがフットジョイでした」と話す。原は先週の試合で軽量のスパイクレスモデル「フューエル」を履き、今週は「プロ/SLX」と「プロライト」を試し履き。フットジョイはモデル数が多く、現場でも種類とサイズの在庫が豊富。プロの求めるときにすぐに対応できるという反射神経の良さも使用率を伸ばしている一端のようだ。

さて、女子ツアーのシューズの好みを調べてみると、「軽・柔・スパイクレス・紐・白」という5つのキーワードが見えてきた。男子プロに比べて「軽くて柔らかいもの」を好む傾向にある。4日間、3日間を戦い抜く中で疲労がたまることを考慮し、軽さというものを優先するのだろう。ただし、軽すぎるのもスイング中のグリップ力への心配が出てきそうなものだが…。

渡邉彩香はFJの新しい軽量シューズがお気に入り(撮影/服部謙二郎)

女子ツアーの中ではパワーヒッターの渡邉彩香が、フットジョイの最新軽量モデルである「プロライト」(約260g)を履いていると聞いたので、その真意を聞いてみた。

「元々私は軽量のスパイクレスが好みなんですよね。すぐに走れそうな靴がいいんです。(プロライトは)ゴルフシューズにしては軽いかもしれないですが、グリップもちゃんとしていて横のブレも気にならない。私は左足の運動量が多いんですけど、特に切り返しで左足を踏み込んだときブレることがなくなった」と、その安定感に驚いているという。ちなみに女子プロに白が好まれるのは、ウェアに合わせやすいことが大きな理由らしい。

現在はフットジョイがリードしているとはいえ、使用率の肉薄状況は変わらない。さらにアディダス、ニューバランスといったところが虎視眈々と上位をうかがっている。まさにゴルフシューズの覇権争いは戦国模様。この先どんな展開が待ち受けているのか、戦況をまたお届けしたい。(編集部・服部謙二郎)

臼井麗香はニューバランスのシューズ(撮影/服部謙二郎)

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