雨少ない6月、岩手県内で水不足が懸念 迫る田んぼ需要、節水も

 

 岩手県内で農業用ダムやため池の水不足が懸念されている。県によると、主要な12施設の平均貯水率は1日時点で59.3%(平年比15.1ポイント減)。昨冬の少雪や春以降の少雨が原因で、放流量を減らし節水を強いられる地域も出ている。田んぼを乾かす「中干し」が終わる7月半ば以降は、水を張るために大量の水が必要で、コメ農家は「恵みの雨」を待ち望む。

 4250ヘクタールの田んぼに水を供給する花巻市の豊沢ダムは、18日午前9時現在の貯水率が12%と深刻な状況。豊沢川土地改良区は貯水量不足に伴い2~17日まで、供給地域を南北に区分けして交互に水を流す「番水」を行った。中干し期間と重なる21日から20日間は全域断水する。

 ダムから水の供給を受ける花巻市太田の農事組合法人リアルの新渕伸彦代表理事(48)は「水の供給が足りず、一部の田んぼはひび割れてしまった。25年間コメ作りをしていて初めてのことで、正直途方に暮れている」と話す。「(中干し後の)真夏に全く水がなければ品質、収量とも壊滅状態となるだろう。梅雨の時季に少しでもダムの貯水率が高まるよう、雨乞いするほかない」と嘆く。

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