新スマートリング「Amazfit Helio Ring」を試す 睡眠に最適、運動ではOuraに軍配

筆者はスマートウォッチが好きで、両手首に1つずつスマートウォッチを着けて日々生活しているのだが、スマートウォッチを着けたまま寝るのは好きではない。これはシーツに絡まったり、眠りに落ちそうなときに光ったりするからだ。そのため、スマートリングを使い始めるまでは、寝ている間の生体情報を記録することができなかった。

しかし数年前に「Oura Ring」をテストしてみると、その邪魔にならない形状のおかげで、これが筆者にとって睡眠や健康に関するデータを得るための最適のデバイスであることが分かった。ただし、Oura Ringで取得した睡眠データは、スポーツ用に使っているスマートウォッチと連携させることができず、睡眠と健康に関するデータを総合的に見るには2つの異なるアプリを併用する必要がある。

そのため筆者は、1月に開催されたCESでAmazfitの人たちと話をした際に、同社のスマートフォンアプリである「Zepp」に、スマートウォッチだけでなく「Helio Ring」も連携させる計画があると聞いて歓喜した。この製品は、健康やウェルネスの状態について理解するための究極の解決策になり得るのではないだろうか。

筆者は、Amazfitの新製品であるHelio Ringと、同社のスマートウォッチ「Cheetah Pro Kelvin Kiptum Commemorative Edition」を着けて10日間過ごし、評価してみた。

現在、Amazfit Helio Ringのサイズは10号と12号しか用意されていないが、将来はほかのサイズも発売される予定だという。このリングにはカラーが1つしかなく、「チタン」と呼ばれているが、実際は温かみのあるややブロンズがかった色をしている。価格は299.99ドル(約4万7000円)だ。

筆者が試したのは12号サイズのチタン合金製リングだったが、重さはわずか3.82gで、幅は8mm、厚さは2.6mmだった。また、他のスマートリングと違って平らな部分はなく、完全に丸い形をしている。このリングは10気圧防水で、20.5mAhのバッテリーを内蔵しており、他のスマートリングと同様のワイヤレス充電ドックが付属している。

Helio RingにはPPG心拍センサー、3軸加速度センサー、3軸ジャイロスコープ、温度センサー、皮膚電気活動(EDA)センサーも搭載されており、多くの技術が詰め込まれていると言っていいだろう。Amazfitの公式情報によれば、バッテリーは一般的な使用で最長4日持つことになっているが、筆者のテストでは1日あたり約25%のバッテリーが消費されていた。参考のために書いておくと、筆者は普段Oura Ringをだいたい1週間に1度充電しているため、Helio Ringのバッテリー持続時間はそれよりもやや短い。

Helio RingとAmazfitのスマートウォッチはどちらも、適切な健康データを提供するアルゴリズムを備えたスマートフォンアプリであるZeppと同期させることができる。このリングだけを装着して寝ると、期待通りにレディネススコア(活動に向けての体の準備状態を示すスコア)、睡眠スコア、睡眠時の安静時心拍数、睡眠時の心拍変動(HRV)、回復時間をアプリで確認することができた。また、Zeppアプリの睡眠タブを見れば、深い睡眠とレム睡眠の時間や割合などの、睡眠に関する詳細情報を知ることができる。

このアプリは強力ではあるのだが、使い方が直感的に分かりにくく、設定項目やカスタマイズのオプション、データの表示項目が多すぎて、自分が求めているものを見つけるのに時間がかかってしまう場合がある。筆者は、データにアクセスする方法がいくつもあることに気づいたが、どの方法が一番自分に合っているかを見つけるまでには時間がかかるかもしれない。

複数のデバイスを同時に着けて比較したところ、Helio Ringの睡眠スコア、睡眠時間の指標、HRVの値については、Oura RingやPolarのスマートウォッチとほぼ一致していることが分かった。ところが、各睡眠段階の時間や、安静時心拍数(RHR)、レディネススコアには、かなりの違いがあった。

RHRの値を複数のスマートウォッチと比較すると、Oura Ringの値はスマートウォッチとほぼ一致していたが、Helio Ringの値は大きく異なり、他のデバイスよりも平均で毎分10回ほど高い値を示した。筆者の標準的な睡眠時の平均心拍数が毎分40~42回であることを考えれば、これはかなり大きな違いだ。

さまざまな指標の中で、レディネススコアはおそらく最も重要な指標だろう。なぜなら、多くの人がその日のフィットネスの計画を立てる際にこれを利用しているからだ。ところが、Helio Ringが示すスコアはかなり低めに出てしまう。これでは、実際には体がもっと運動ができる状態でも、運動を避けてしまうかもしれない。原因を調べてはみたのだが、Helio Ringのレディネススコアが低く出る理由はよく分からなかった。

また、週次レポートや月次レポート、レディネスに関する分析情報、AIを活用した「Zepp Coach」の詳細などを見るためには、さまざまなサブスクリプション契約が必要になる。Helio Ringを使って基本的な情報を見るだけであればサブスクリプションは不要だが、リングで得られたすべてのデータにアクセスしたければ契約する必要がある。

それに加えて、筆者のテスト中にHelio Ringが示した安静時心拍数は、2つのスマートウォッチやOura Ringの2倍近くの数字だった。運動データに関しても、他のデバイスとはかなり違う値が出ていたため、Helio Ringは睡眠トラッカーとして使うのが一番いいと考えるに至った。幸い、筆者はもともとそれを目的としていた。

このリングは、スマートリングとスマートウォッチを連携させて、健康とウェルネスに関する体験を統合できる可能性を秘めているが、実際にAmazfit Helio Ringを使ってみると、一部のデータが不正確で筆者の期待には届かなかった。ただし、データの問題は、今後のソフトウェアの改善で解消する可能性もある。

まとめ

スマートリングは、健康やウェルネスに関するデータを邪魔にならないように得るためによく使われるようになってきており、特に睡眠時の利用には向いている。これは、スマートウォッチを着けて寝ることに抵抗がある人もいるためだ。しかし現時点では、スマートリングのデータとスポーツ用のスマートウォッチで入手したデータの統合に課題がある。AmazfitのHelio Ringはこの課題を解決できる可能性を秘めているが、Zeppアプリや、心拍数に関するデータの信頼性についてはまだ改善すべき点がある。

フィットネス中の測定に適したスマートリングを探している人であれば、「RingConn スマートリング」も選択肢の1つになるだろう。しかし現時点で出回っている製品の中では、Ouraのスマートリングが最善の選択だと言わざるを得ない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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