自民島根内に冷めた空気…補選で惨敗の錦織氏、衆院選への再挑戦断念 「政治とカネ」巡り逆風続き、候補選定は難航か

衆院島根1区補選を総括する合同会議で細田重雄県連会長(右)とあいさつを交わす錦織功政氏(左)=島根県松江市朝日町、松江テルサ

 4月の衆院島根1区補選に自民党公認で立候補し、野党候補に敗れた元財務省中国財務局長の錦織功政氏(55)が次期衆院選への立候補を断念した。突然の決断の背景には、再挑戦に否定的な県連内の空気があった。7月の県連大会で決まる新体制の下で候補者選定が進むが、「政治とカネ」問題を巡る党への逆風はやんでおらず、難航は必至の状況だ。

 「出られる環境にない」。18日午後、松江市内の県連所属国会議員の事務所に突然姿を見せた錦織氏が厳しい表情で漏らした。

 同日朝には党島根1区選挙区支部長の辞任届を県連に提出。開会中だった県議会では県議の動きが慌ただしくなり、県連は急きょ常任総務会を開き、辞任を了承した。終了後、絲原徳康県連幹事長は「補選を総括する合同会議をしたばかり。夢にも思わなかった」と打ち明けた。

 衆院3補選のうち唯一の与野党対決となり、全国から注目を集めた戦いで、野党候補に約2万5千票差で敗れた錦織氏。水面下で再挑戦に意欲を示していたが、県連内には冷めた空気もあった。

 松江市内で16日に開いた合同会議では、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件による政治とカネ問題への党本部の不十分な対応が最大の敗因などと総括。一方、県議の一人は「(錦織氏を)擁護する声は出なかった」と説明する。

 議席だけでなく、大きな代償を払った補選から1カ月半。党宍道支部の川島光雅支部長は「県連の態勢を立て直してもらわないことには始まらない」と求めた。

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