山形市、熱中症対策計画を策定 独自に注意喚起、予防へ

夏の日差し(資料写真)

 山形市は、本年度から5年間を期間とした熱中症対策実行計画を策定し、19日に公表した。気温や湿度に応じて市民らに注意喚起する市独自のシステムを新たに運用し、熱中症予防に努める。指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)を民間にも広げるなどの対応を取り、急増する救急搬送者数を年平均150人以下とする目標値を定めた。

 市独自の注意喚起は、環境省と気象庁による熱中症警戒アラートなどとは異なる仕組みで実施する。当日の気温が31度以上、または熱中症予防のための指標「暑さ指数」が28以上になった際、激しい運動は控えるように呼びかける。加えて、気温が35度以上、または暑さ指数が31以上となった場合、熱中症の危険性が非常に高まっていることを知らせる。市の交流サイト(SNS)などで周知し、既に運用体制を整えている。

 クーリングシェルターは、現状では30の市有施設を活用する方針で、民間施設にも協力を求める。重大事案発生時は市長をトップとする対策本部を設置するほか、学校現場での熱中症の発生状況を新たに公表する取り組みなども盛り込んだ。

 市内の熱中症による緊急搬送者数は、2019年から22年は年間120~150人ほどで推移していたが、23年は253人と増加した。23年は中学校の体育祭の練習中に生徒が救急搬送される事案が発生した。計画では、過去の搬送者数を踏まえて目標値を「150人以下」とした。これまで死亡者はなく、引き続きゼロを目指す。

 市議会総務委員会で説明した。市防災対策課は「災害対策の観点で熱中症に対する取り組みを進める。全庁的に意思統一を図って対応する」としている。

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