伝統紋様「会津型」バッグに 大阪の企業と喜多方の工房が製品化

会津型の伝統的な紋様が施された商品を紹介する滝井さん(左)と冠木さん

 資源の有効活用に取り組む「一般社団法人アップサイクル」(大阪市)は、染織工房れんが(喜多方市)と連携し、使用済みの紙資源や間伐材を再利用した生地に喜多方の染型紙「会津型」の紋様を施したトートバッグやポーチなどを製作した。19日、同工房やインターネットなどで販売を開始した。

 同法人には、日清紡グループのニッシントーア・岩尾やネスレ日本など全国30以上の企業・団体が参画。会員企業やスーパーで回収した紙資源や未利用の間伐材を再利用し、紙で作った糸「紙糸」にするプロジェクトを進めている。環境保全と日本の伝統工芸の技術継承の取り組みをつなげようと、これまでに加賀友禅や水引などと連携し、製品開発に取り組んできた。

 第5弾となる今回は紙糸で作られた生地に、桐(きり)や龍、コイなどの伝統的な会津型の型紙を使って染色し、紋様を施した製品を開発した。販売するのは、ハンカチタオルやトートバッグ、ポーチなど6種類で、それぞれ5~6種類のデザインを用意している。会津型のほか、工房で独自にデザインした赤べこなどの製品もある。

 19日に喜多方市の同工房で製品発表会が開かれ、同法人の滝井和篤(かずしげ)事務局長が「日常生活の中で会津喜多方の文化を感じられる商品が完成した」と製品を紹介。同工房代表の冠木昭子さんが「会津型の良さを知ってもらうきっかけになるとうれしい」と話した。

 染織工房れんがや東京都渋谷区のネスカフェ原宿、プロジェクトのECサイトで購入できるほか、7月11日に仏パリで開幕する欧州最大の日本文化イベント「ジャパンエキスポ」でも販売する。問い合わせは滝井さん(電話080.6142.1012)へ。

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 会津型 型紙を使って着物などの生地に模様を染める技法「型染め」に使う染紙型。和紙数枚を柿渋で貼り合わせた「渋紙」に彫刻刀で紋様を彫り、藍染めなどによって繊細な模様をつけられることが特徴。江戸後期に伊勢白子(三重県鈴鹿市)から派遣された職人によって始まり、喜多方市の小野寺家(現小野寺漆器店)が製作、販売していた。2003年には「会津の染型紙と関係資料」として県の有形民俗文化財の指定を受けた。

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