「アプローチで助かった“だけ”」松山英樹が全米オープンを振り返る

松山英樹はメジャーを挟む3連戦の最後の試合へ。今大会後は欧州での試合が待つ(撮影/桂川洋一)

◇米国男子◇トラベラーズ選手権事前情報(18日)◇TPCリバーハイランズ(コネチカット州)◇6835yd(パー70)

砂煙が時折舞っていた前週とは違う。松山英樹の視界には青々とした芝生が広がる。フェアウェイの両サイドがネイティブエリアに囲まれていた「全米オープン」のパインハーストNo.2から一転、今週待ち受けるのは深いラフ。「先週のコースに比べたらラク…という言い方はおかしいけれど。狭いようで、狭くないように見えるというか」。種類の違うコースの難しさに、心境の変化もうかがわせた。

最終日の夜にはプライベートジェットでパインハーストを去った。全米オープンは最終日に逆転のチャンスがあった首位に5打差の5位からスタートし、6位でフィニッシュ。メジャーでは4位だった2022年の本大会以来のトップ10入りだったが、2年前のことは「完全に忘れていた」と苦笑いした。

今週のTPCリバーハイランズは緑がいっぱい(撮影/桂川洋一)

当時は春先から故障続き。「たぶん首痛でそれ(トップ10)どころじゃなかったというのもあるんだろうと思う。それに、ちゃんと優勝争いを最後にしたのは(優勝した21年)マスターズくらいじゃないかなあって」。2月「ジェネシス招待」で3年ぶりの優勝を飾った今季は「マスターズ」38位、「全米プロ」35位と、もう一つ噛み合わなかったところで、メジャー第3戦は復調を印象付けるひとつの節目になった。

プロアマ戦のあいだに子どもたちにサイン(撮影/桂川洋一)

そうは言っても、松山は課題ばかりを口にする。「ああいうゲーム運びしかできなかった状態が…(不満)。ショートゲーム、アプローチが良くて助かっただけとしか思わない。勝つためにどうこうという感じじゃなかったかな」

ショートゲームのスコア貢献度(ストロークゲインド)は全体7位の「+1.6」を誇った。「とりあえず、耐える。耐えて、耐えて…2日目みたいにバーディが来たら上にポンと行くっていう。きっかけがあればハマるかな、みたいなゴルフだった」。後半の3連続を含む4バーディ、ボギーなしの「66」で終えた第2ラウンドは必要とされたラウンドのようで、理想はもっと上にある。

コネチカット州はピザが有名なんです(撮影/桂川洋一)

どんなコースであっても、思い通りに攻めていけるショット力がまだまだ欲しい。「練習からの調子の流れが続くのではなくて、流れがぷつんと切れて、修正して、それまでの流れの上を行く感じでないと勝てないな…みたいに思った」と、事前練習から最終ラウンドに向けたコンディションの上下についても頭をひねっているところ。

「最終日の朝の練習では(調子が)めっちゃ良かったんですけどね。たいてい、良い時って試合で悪くなるというのも分かっている。そういうのも複雑ですよね」。メジャー2勝目へ向けて悩みに悩む。ライフワークは続いていく。(コネチカット州クロムウェル/桂川洋一)

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