党首討論

 きょう何食べた? 好きな本は?遊びに行くならどこに行くの?…矢継ぎ早の質問を「何も食べてない」「それは内緒」と無敵の笑顔でかわす。世界的ヒットになった音楽ユニット「YOASOBI」の「アイドル」▲〈何を聞かれてものらりくらり〉の問答を見せられて、真っ先にこの曲を思い出した-と書くのでは、YOASOBIもとんだ迷惑に違いない。岸田文雄首相が昨日、初めて国会の党首討論に臨んだ▲自民党派閥の裏金事件を受けて成立した改正政治資金規正法。透明化は一歩でも先に進んだのだろうか。「政治活動の自由と知る権利のバランス」を首相は訴えるが〈見えそうで見えない秘密は蜜の味〉の疑念が消えない▲経団連が早期実現を提言した選択的夫婦別姓制度。“夫婦や家族の一体感”は別姓を選ぶ当事者が心配すればいい話だ。だが〈私、分からなくてさ〉と言わんばかりのゼロ回答が続く▲解散や総辞職を迫る声が相次ぐと、強い調子で反論した。「私自身は四面楚歌(そか)とは考えていない」。ああ、そういえばYOASOBIも歌っていた。〈弱いとこなんて見せちゃダメダメ〉▲得意のフレーズもあった。「先送りできない課題に結果を出す」。〈この言葉がいつか本当になる日を願って〉-そんなに時間が残されているだろうか。(智)

© 株式会社長崎新聞社