失言受け重ねて陳謝 中川市長 市政運営には意欲 上越市

報道陣から発言の真意について問われる中川市長(19日、上越市役所)

上越市の中川幹太市長が18日の市議会本会議で、信越化学工業(本社・東京都)の工場で働く従業員を指して「高校卒業レベルが多く、頭のいい人だけが(企業誘致しても)来るわけではない」と発言とした件で、中川市長は19日、報道陣の度重なる取材に応じ、陳謝した。近く同社本社または直江津工場を訪れ、おわびすることにしている。

発言は、丸山章氏(無所属)の一般質問の「市の企業誘致の取り組み」に関する部分。丸山氏は「企業誘致をしてこそ優秀な人材が集まる」と述べたが、中川市長は同社を挙げて「従業員3000人のうち、研究開発職は270人。あとは工場勤務。高校卒業レベルであり、それほど頭のいい人が来るわけではない」と発言した。

中川市長は報道陣に発言の真意を問われ「高い専門性を持つ人は企業誘致で来るかもしれないが、地元密着型の人材は地元で採用しなければならないという意図だった。多種多様な人材が必要だとの意図で発言した」と述べた。

今後については「任期満了まで(市長職を)務めたい」と意欲を示した。18日に続き19日も市議会本会議で発言を陳謝した。

中川市長は昨年7月、経済団体との会合で同市内の高校の実名を挙げて「県内ではレベルが下の方にある」と発言したこともあり、失言が相次いでいることについて「考え方を改め、反省し、頑張っていきたい」とした。

市によると19日だけで7件程度の意見や苦情が寄せられたという。

◇根底に学歴偏重? 市幹部の注意受け訂正

中川市長は失言直後の18日夜、議場で取材していた報道各社の取材に応じたが、学歴や学力を偏重するような発想が見え隠れした。

上越市役所にも高校卒業後採用された職員が数多くいる。その人たちにも同様の考えを持っているのか、と問われたのに対し「高卒でも部長になった(昇進した)人もいる」と発言。同席した市幹部から「高卒でも、というのは間違っている」と発言を注意され、慌てて発言を訂正する一幕があった。

昨年7月の失言でも、2カ月間真意を語らない期間を経て、記者会見で「学力偏重の考え方」が発言の根底にあったことを認めている。

© 株式会社上越タイムス社