全仏テニス連覇の裏で…17歳でプロ意識 渡仏直前、小田凱人が訪れた場所 きっかけは都内でばったり

木場克己氏(左)と小田凱人、出会いは都内で偶然会ったことだという【写真:木場克己氏提供】

プロトレーナーの木場克己氏の指導を受けていた小田凱人

テニスの4大大会・全仏オープンの車いすの部・男子シングルスで大会2連覇を果たした小田凱人。8日に行われた決勝で、第3シードのグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)を7-5、6-3で下し、18歳にして通算4度目のグランドスラム優勝を飾ったが、渡仏直前には更なるレベルアップを期してトップトレーナーに指導を受けるプロ意識の高さを示していた。

2連覇を決めた後、ラケットを放り投げて赤土のコートで喜びを爆発させた小田。8月開幕のパラリンピックの舞台ともなるローランギャロスで、強打自慢のフェルナンデス相手に圧巻のストレート勝ちを収めたが、栄光の瞬間を支えたのはストイックさだった。

「全仏出発まで忙しいスケジュールの合間に東京までやってきて、しっかりトレーニングに取り組んでくれた。18歳ですが、相当なプロ意識の高さだと感じました」

こう語ったのは、サッカー日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダ)らトップアスリートを指導するプロトレーナーの木場克己氏。5月24日に小田が江東区の「COREトレSTUDIO」を訪問した。90分間、体幹部分を鍛え、敏捷性、バランス力、コーディネーション能力を高める独自メソッド「KOBA式体幹バランストレーニング」に初めて取り組んだ。

木場氏のトレーニングで「フランスに行く前にいい刺激が入った」と小田【写真:木場克己氏提供】

小田が都内で偶然会った木場氏に記念撮影を求めたことがきっかけで会食に発展。今回の指導が実現した。日本代表のテニスプレイヤーも指導してきた木場氏だが、障害を持つテニス選手の指導は初だった。

木場氏は「いろいろな動きのチェックをした後、特別なメニューを組みました。プレー中は腕と体の軸で車椅子をコントロールするので、体幹がブレるとパワーとスピードのロスが生まれるリスクがある。車椅子のターンの際の脇腹の使い方、上半身の可動域、全体の連動性を含めて強化しました。本人も手応えを感じていた様子です」と振り返る。

特製ファンクショナルマットやクッションで脇腹中心に、インナーマッスルを鍛え抜いた小田は、車椅子でフロアに2つ置いたコーンを八の字に周回する高速スラロームで、トレーニング効果を確認。「フランスに行く前にいい刺激が入った」と話していたという。

8月開幕のパラリンピックでもさらに進化した姿を見せてくれそうだ。

THE ANSWER編集部

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