日本一小さな村が“ヒマワリ”で課題解決 新旧村民のつながり深める『サンフラワープロジェクト』がスタート!【富山発】

日本一小さい村、富山・舟橋村。2022年、役場内のパワハラ問題に端を発し、村長選まで行われる事態となって村は混迷した。その舟橋村で、村民同士の交流を促すため、あるプロジェクトがスタートした。鍵は“ヒマワリ”だ。

“種まき”から始まる村の改革

日本一小さな村である舟橋村。
1400人ほどだった村の人口は、富山市に隣接しベッドタウンとして、この30年ほどで約3300人(6月1日時点)と倍以上に増えた。

人口密度は県内の自治体ナンバーワンとなり、宅地開発や子育て環境の整備などで実現した人口増加は、全国からも注目されている。

そんな村で、越中舟橋駅近くの休耕田を一面、ヒマワリ畑にし人気スポットにしようというプロジェクト『サンフラワープロジェクト』が計画されていた。

『サンフラワープロジェクト』と名付けられた2024年度の新規事業は、秋田県で、以前から行われている同様の取り組みを参考にしたもので、種から採ったヒマワリ油などを地域の特産にすることも目指した。ただ、村の狙いはこれだけではない。

村によると子育て世代を中心に人口は増えたものの、消防団や民生委員などの地域の組織には、新しいメンバーがなかなか入らず、将来的な存続に不安があるという。
そこで、村民が集まる場所づくりをすることにより、新旧村民間のコミュニケーションを促す考えだ。

2022年、役場内のパワハラ問題に端を発し、村長選まで行われる事態となった舟橋村は、役場内の風通しを含め、幅広い世代間の価値観の違いをどうするのかが争点の1つとなった。

今回のプロジェクトは、そういった課題を解決するため、選挙で初当選した舟橋村・渡辺光村長が力を入れている施策で、村民が集まり、コミュニケーションを図るきっかけにしてほしいとLINEのオープンチャットで種まきイベントを告知をした。

幅広い世代が想定の倍以上集まる

6月15日、種まき当日は強い日差しが照り付ける中、想定の倍以上の70人余りが集まった。

渡辺村長の「この夏、大輪の花を咲かせるであろうヒマワリを楽しむために、そういった形で種を植えていただければ。きょう1日、頑張って参りましょう。よろしくお願いします」という挨拶でイベントが始まった。

花が等間隔で咲くように、村民は列になってペットボトルで土に穴を開け、ヒマワリの種を2粒入れていく。

村民は「楽しい。こういうの初めてだから」「景色がきれいなところで植えるのが気持ちいい」と種まきを楽しんでいた。

渡辺村長は「若年層の人に偏りすぎるのも嫌だと思っていた。バランスよく小さな子どもから高齢の人まで参加いただけるのはありがたい。それを一番望んでいた」と語った。

交流促進に“種をまく1年”

村長の期待と反して、参加した村民たちは作業に集中し、期待していた世代が異なる村民同士の会話はわずかだった。

舟橋村・渡辺光村長:
何かもうちょっとペチャクチャ喋りながらやれないかなと思っていたんですけど。種植え作業にもう(夢中で)来年への課題ですね。

しかし、参加した村民は「いつもイベントは若い人が楽しくやっている感じだが、きょうはまた新しい人たちとこうやって一緒に同じ作業をするのは気持ち的に良い」と話し、イベントによる効果はあったようだ。

渡辺村長は「1回目で肩組んで仲良しとは到底ならなくても、『何回か見たことある』というのが、あるのとないのとでは(違う)。話しかけるときのきっかけになると思うし、共通点・共感があれば話題も膨らむと思うので、その下地にはなったのかなと」と語った。

村は、7月に草刈り、10月には種の採取と、ヒマワリの成長に伴い、今後も村民が集まる機会を作ることにしている。ヒマワリは、8月中旬に見頃を迎える見込みだという。

始まったばかりの『サンフラワープロジェクト』。2024年は、村民の交流促進に向け、まさに“種をまく1年”となる。

舟橋村の新たなスポットとなるヒマワリ畑を核に村民のつながりが深まるのか注目だ。

(富山テレビ)

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