「使い捨てゼロへ」傘のシェアサービス開始 渋谷駅周辺100カ所超に設置 所有からシェアへの行動変容に期待

渋谷区や東急不動産は、渋谷駅周辺に100カ所以上の傘のシェアスポットを設置し、2030年までに使い捨て傘ゼロを目指すと発表した。
専門家は、今回の取り組みをサステナブルな街づくりの一環として評価し、所有からシェアリングへの移行を提唱する。

2030年まで「使い捨て傘ゼロ」プロジェクト

東京・渋谷区などが、使い捨て傘ゼロを目指す取り組みをスタートした。

渋谷区や東急不動産ホールディングスなどは、渋谷駅周辺に100カ所以上の傘のシェアサービスのスポットを設置し、2030年までに“使い捨て傘ゼロ”を目指すと発表した。

日本では、年間約1億3000万本の傘が使われているが、そのうち6割にあたる8000万本が、ビニール傘などの使い捨て傘となっている。

東急不動産はこの取り組みで、CO2を年間約76トン削減できると試算している。

使い捨てからシェアリングへ行動変容

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター: ーー今回の取り組み、さっそく取材されたとのことですが、いかがでしたか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
渋谷がサステナブルな街へと変わり、人々に環境への配慮や行動変容を求めるいい取り組みですよね。

コンビニで「ビニール傘」の開発を担当していた時には、雨にぬれない工夫や、求めやすい価格の提供に知恵を絞っていたが、それも、もう昔のことで、今回、「使い勝手の優先」から「使い捨てゼロ」へと消費のあり方が変わったことを感じた。

日本では、年間約1.2億本から1.3億本の傘が消費され、そのうちの6割が使い捨ての傘となっている。

生産から消費、さらに廃棄へと資源が無駄にされ、余計なCO2の排出にもつながっている。

今回の取り組みを通して、暮らしを見直すきっかけにしてほしい。

堤キャスター: ーー自宅に傘が何本かあるのに、出先で雨に降られたため、ビニール傘を購入する方、多いかもしれませんね?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
急な雨やどこかに忘れてきたりで、自宅には1人平均4.2本の傘がある。その多くは使われることなく、自宅で眠ったままとなっている。

暮らしの無駄をなくしていくためのポイントの1つに、所有からシェアリングへの移行がある。

日本で年間約8000万本消費される使い捨て傘の廃棄をゼロにすることを目指したプロジェクトが進んでいて、東京に340ある駅の半分に「アイガサ」という名称で、ペットボトルの再生素材を100%使用した傘のシェアリングも広がっている。

ただ今後は、急な雨での傘の購入や、シェアリングにお世話になる方が減っていくかもしれない。

日傘兼用傘の人気で使い捨て傘ゼロへ

堤キャスター:
ーーそれは、なぜなんでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
いま日傘をメインとして使いつつ、雨が降り出したら、そのまま雨傘になるものが、売れ筋になっていて、女性に限らず、男性の購入も増えている。

雑貨店・PLAZAでは、晴れ日と雨の日の兼用傘が62%、雨傘が38%と販売が逆転している。使い捨てのビニール傘ゼロへ向かう消費者の行動変容や、傘を取り巻く環境の変化を注視していきたい。

堤キャスター:
環境やお財布に優しいだけでなく、雨の日の移動がスムーズになることで、消費の側面でもプラスに働くことを期待したいです。
(「Live News α」6月19日放送分より)

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