“地震のような揺れ”駅前ビル解体現場で突如崩落 電柱が折れ隣の駐輪場建物に穴も…急ピッチ作業が原因か?

19日、埼玉県富士見市にある住宅街で、解体作業中のビルの一部が突如崩壊する事故が発生。幸いけが人などはいませんでしたが、解体途中のビルの足場などが一気に崩落してしまいました。

「めざまし8」は、事故前日のビルを捉えた映像を入手。その工事の様子から、事故の原因が見えてきました。

“地震のような揺れ”日中に突然崩落

現場は埼玉県富士見市、東武東上線の鶴瀬駅から近く、人通りも多い住宅街。倒れる瞬間を目撃したという人は、聞こえた“異音”から「地震がきた」と勘違いしたといいます。

崩落の瞬間を目撃した人:
「ミシミシミシミシ」っていって、「地震かな?」って思って辺りを見たら、あれが倒れちゃう感じでしたね。
あそこ本来は人と自転車の往来が結構、激しい所なんで、けが人とかいなかったのかなっていうのがすごく心配だったんですけども。

崩落が起きたのは正午頃でしたが、もし、朝の通勤時間に起きていたら、大きな被害が出ていた可能性も…。

足場などが崩落したすぐ先にある駐輪場の建物の壁には、崩落の影響で大きな穴が空いていました。

事故直後に撮影されたという写真を見ると、がれきで道路がふさがれ、解体現場を囲う壁ごと、崩れてしまっていることが分かります。

別の写真では、電柱が90度近く折れ曲がっており、衝撃の強さを物語っています。

解体現場近くの飲食店 店主:
きのう(18日)も雨で壊していたんですけど、やっぱり結構、急ピッチで壊している感じだったんで。もう「ガシャンガシャン」すごい勢いで壊していたので、なんか倒れなければいいよなっていう感覚では見ていましたね。
家にいて「ズドン」と音がしたから、あぁやったなと。工事の壊している音とはまた違う音だったんで、すぐ分かりました。1発「ズドン」って鳴って、その後に10分~15分ぐらいしてから救急車の音とかサイレンとか鳴ったんで、何かあったなと思って、けが人がいなければいいなと思っていて。見にいったら別にけが人はなかったから、あぁよかったと。

その際に撮影された店の防犯カメラ映像から、大きく崩れる直前に、囲いのようなものが不自然に動いているのが分かります。このとき、崩落が始まっていたとみられます。

大雨の中急ピッチで作業か?住民不安

近隣住民によると、当時、現場周辺で強風などは吹いていなかったといいます。
しかし、その工事の様子に、近隣住民は崩落前から不安を抱えていました。

解体現場の近隣住民:
バーンって。でっかい解体用の重機が入ったりとかして、本当ここ最近です。一気にって感じですね。「あ、工事始まったんだな」と思ったら、きのう(18日)には建物が真ん中のあたりまでもうなくなっていたので。

解体現場の近隣住民:
きのう(18日)の大雨の作業は、ちょっと異様でしたね。
なんかショベルカーを入れて、骨組みのあの建物ガンガンガンガン崩していたから。作業でほこり立つから、それをおさえるために雨の中やった方が手っ取り早いのかな…。

大雨の中でも続けられたという、急ピッチでの解体作業。
さらに、めざまし8が入手した事故2日前に撮影された映像には、建物を真ん中から割るように解体している様子が映っていました。

解体施工技士の資格を持つ 中野達也氏:
映像から片方が鉄骨造、片方が鉄筋コンクリート造になっているのが分かるので、解体工事の工法、使う重機など異なるものを使用していくことになるので、それぞれ別々に解体していく計画が組まれたのだなと。

中野氏によると、鉄骨造の建物を解体していた際、鉄骨部分を道路側に向かって徐々に解体していったところ、残された部分の地面の接地面積が小さくなり、不安定になったことで、バランスを崩して建物自体が崩れてしまったのではないかといいます。

本来は、崩れないようバランスをみながら、上階から解体をしていくといいますが…。

――法的に決まっていることなんですか? 中野達也氏:
法の規正はないのですが、業界知識として一般的にそういうふうに進めるというのが常識ですね。やはり、手数が増えるということは、工期が増えるということもあって、この現場だけというより、その業者としては、利益を重視したそのような工事の進め方が一般的だったのではないかなと。

今回の事故について、解体業者を取材すると以下のような回答が返ってきました。

解体を行った業者:
なぜ事故が起きたのか、原因を究明中です。現場では違法な事はしていません。事故で壊れた部分の補償などをしっかりやりつつ、再発防止対策を検討します。
(めざまし8 6 月20日放送)

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