ザ・キャビンカンパニー初となる全国各地の美術館をめぐる巡回個展、平塚市美術館より開幕

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大分県由布市の廃校をアトリエとして、絵本、立体造形、アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で活躍する阿部健太朗 (1989-) と吉岡紗希 (1988-) によるユニット「ザ・キャビンカンパニー」。その結成15周年を記念して関東圏で初となる大規模個展が、7月6日(土)から9月1日(日)まで、神奈川県の平塚市美術館で開催される。

2009 年の結成以来、40 冊以上の絵本を発表してきたふたりは、『だいおういかのいかたろう』(鈴木出版、2014年)で日本絵本賞読者賞を、また『がっこうにまにあわない』(あかね書房、2022 年)で第23回日本絵本賞を受賞するなど、高い評価を得ている絵本作家だ。また「こどもの読書週間」のポスターの絵を2年にわたって担当したことで、その独特の色彩と力強さをもつ作品のイメージが、多くの子供たちにとっても親しみ深いものとなっている。

その一方で、新国立劇場ダンス公演『オバケッタ』(2021年)の舞台美術や、「NHK おかあさんといっしょ」(Eテレ)の「しりたガエルのけけちゃま」のキャラクターデザインと美術制作、歌手あいみょんの「傷と悪魔と恋をした!」のツアーパンフレットの表紙および本文挿絵を担当するなど、その活躍は絵本だけにとどまらない。

ザ・キャビンカンパニー「けけちゃま」 2022年 Eテレ おかあさんといっしょ

同展の大きな魅力は、初期から最新作までの絵本原画400点に加え、立体造形、映像作品などが一堂に会すること。「序章」から、「あたまのなかの冒険」「オボロ屋敷」「アノコロの国」「ならばの脱皮」「玉虫色の窓」「雲とモヌケ」「童堂賛歌」の7つの部屋で構成された会場には、まるで空間自体が大きな1冊の絵本になったように様々な仕掛けが施されている。

ザ・キャビンカンパニー《玉虫色の窓》2024年 作家蔵 (撮影 : 橋本大)

ちなみに展覧会名でもある「童堂賛歌」は、同展のための造語だそうだ。飽きることなく同じ遊びを続ける子供の時間のとらえ方や感覚に象徴される「童」と、本屋や薬局、駄菓子屋などの店名にも使われるお堂 の「堂」(「万物を受け入れる」場でもある)のふたつの意味を組み合わせているのだとか。そのタイトル通り、年代を問わず誰もが、ザ・キャビンカンパニーの多様な魅力にあふれる作品を身体全体で無心に楽しめる展覧会となっているに違いない。会期中は、作家による絵本の読み語りやトーク、サイン会、ボランティアによるおはなし会など、関連イベントも盛りだくさんだ。そちらもぜひお楽しみに。

<開催概要>
『ザ・キャビンカンパニー 大絵本美術展〈童堂賛歌〉』

会期:2024年7月6日(土)〜2024年9月1日(日) )
会場:平塚市美術館)
時間:9:30~17:00(入場は 16:30 まで) )
休館日:月曜 (7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火) )
料金:一般800円、高大500円)

公式サイト:
https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

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