臭いだけじゃない厄介者「カメムシ」 美味しいサクランボがボコボコに 全国的に大量発生で被害深刻

TSSテレビ新広島

独特の臭いを放ち厄介者扱いされるカメムシが全国的に大量発生しています。
先月、広島県内でも2年ぶりに注意報が出されましたが、「臭い」だけでない悩ましい被害をツイセキしました。

標高500mの山あいに位置する三次市の観光農園。

【子供】「おいしかった」

陽ざしをたっぷりと浴びた甘いサクランボが世代を問わず大人気ですが、今年は異変が起きています。

【五十川記者】
「たわわな色鮮やか実が多いのですが、よく見てみますと空気の抜けた風船のようなボコボコになっている実もあります」

萎んでしまった歪な形のサクランボ。
畑に飛んできたカメムシがストロー状の口で中身を吸ってしまいました。
被害は全体の1割ほど、ところどころに商品として提供できないものが混じっています。

【平田観光農園・平田真一社長】
「上からは鳥がやってくるし下からはイノシシ、シカがやってくるしカメムシやってくるしと大変でございます。食べちゃいけないの分からないからね、あいつら」

平田観光農園は先月末、カメムシの大量発生を受けて例年より1週間早く侵入を防ぐためのビニール製の屋根と壁面を覆うネットを張り巡らせました。
それでも夜を中心にわずかな隙間から入り込み一たび吸われると、元の形には戻りません。

【平田観光農園・平田真一社長】
「冬場から例年の何倍かのカメムシが目で見えて分かる状態でしたので、このまま行くと本当に夏に向けてまだまだ気が抜けない状況が続く」

サクランボをはじめナシやモモなど、果樹全般に群がってしまうカメムシ。
冬場の気温が全国的に高かった影響で今シーズンは広島県内も通常の2.8倍の個体数が「越冬」したとみられ2年ぶりに注意報が発令されました。
害虫駆除のプロは巣を作って生活するハチやシロアリ以上に根本の解決が難しいと言います。

【広島県薬業・手塚孝志さん】
「カメムシの場合は巣が特定できない。あらゆるところが発生源になっていますので、根本的に駆除するのは非常に難しい」

その上で、いかに侵入を防ぐかが一番のカメムシ対策だと言います。

【広島県薬業・手塚孝志さん】
「カメムシは2mmくらいの隙間があると入ってきてしまう危険性があります。もう本当に入らないようにするという対策しかないので」

「臭い」だけではないカメムシの被害。
県によると、産卵期の7月から8月にかけて個体数のピークを迎えるということです。

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