「どうせうまくいかない…と思ってたらこうなった(笑)」 高橋彩華が“超苦手コース”で2年ぶりの単独首位発進

高橋彩華が単独首位発進を決めた(撮影:上山敬太)

<アース・モンダミンカップ 初日◇20日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>

過去6度出場し、予選通過はわずか2度(棄権が1)。高橋彩華にとって、ここカメリアヒルズCC(千葉県)はツアーのなかでも「1、2位をはるかも」というほどの苦手コースだが、そこで7アンダーの単独首位発進を決めた。

この日の「65」は今大会では2021年大会2日目の「69」に続く2度目の60台。だが本人的には「ここでアンダーを出した記憶もない」というほどだから、相当な苦手意識だ。それだけに「めちゃくちゃうれしい」という気持ちも湧いてくる。勝負のポイントとして、スタート直後の10番、11番、12番のパー4を挙げる。それぞれ難易度が5位、4位、3位というホールは、高橋にとって「難しいから全部パーでいい」と耐えるつもりの場所だった。

しかしフタを開けてみると、11番は残り150ヤードから7番アイアンで5メートルにつけてバーディ。さらに12番も、同じ7番アイアンで残り140ヤードを2メートルにつけて連続バーディを奪うことができた。「2つ来て気持ちが楽になって、そこからリズムもよくなりました」。そして終わってみると8バーディ(1ボギー)の荒稼ぎとなった。

“嫌なイメージを払しょくしたのか?”というと、決してそうではない。「全ショット『どうせうまくいかないから』、『どうせうまくいかないから』って思いながら18ホール回っていたら、こうなった(笑)」というのが本音。ただこの開き直りが、体の力みを抜くのにはちょうどよかった。

これまでうまくいかなかった理由は、ティショットにある。このコースの特徴のひとつがラフ。決して短くもなく、さらに深い場所が点在する。これまでの高橋は“よりによって”という場所に外し、その嫌なイメージが振れなくなる原因を作る…という悪循環に陥っていた。「今年もどうせうまくいかないだろう」。これがおまじないかのように効いた。

終盤の7番パー4でボギーを叩いたものの、8番パー5で4メートル、9番パー3で5メートルを沈め、上がり連続バーディも記録した。グリーン手前の池がカギになり、この日の最難関となった最終ホールも、「ここはいつもうまくいかない。池に入れたことはあったかどうか…、いつもよく分からなくなる」と苦笑いする場所。それも見事に“克服”した。

今大会は賞金総額3億円の超高額大会。その開催コースが苦手なのも、「よりによって」という事態だ。「いいイメージに変えたいですね」という思いは、当然ながら強い。だが2日目も考えることは、「きょうはよかったけど、どうせうまくいかない(笑)」。もっと言うと、「どうせうまくいかないなら思い切りやればいい」。単独、タイを含めても首位で初日のラウンドを終えたのは、完全優勝で初優勝した22年の「フジサンケイレディス」以来。いい意味での割り切りが、“思わぬ場所”での2勝目を呼び込むかもしれない。(文・間宮輝憲)

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