藤井七冠破った伊藤匠新叡王 71歳師匠にお祝いメール殺到「長く生きていればいいことある」弟子の快挙「こんなに早いとは」

 目を潤ませる宮田利男八段

 将棋の藤井聡太叡王(21=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠)に伊藤匠七段(21)が挑戦した第9期叡王戦5番勝負第5局が20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で指され、156手で伊藤七段が勝利。藤井叡王は対戦成績2勝3敗でタイトル戦番勝負23戦目にして初の敗北となり、七冠に後退した。

 初タイトルを手にした伊藤七段の師匠・宮田利男八段(71)は、都内の三軒茶屋将棋倶楽部で愛弟子の快挙に目を潤ませた。

 倶楽部に通う子どもたちに将棋を教えながら対局を見ていた宮田八段。倶楽部内は、勝利の瞬間「ヤッター」と子どもたちの歓声や、拍手喝采が起こった。宮田八段は驚きの表情を浮かべ感無量「4局目に負けたときはやっぱりダメかなと思ったんですけども、やってくれました。信じられない」としみじみと語った。

 愛弟子の伊藤七段には、厳しい言葉も投げかけてきたと明かす。「25歳までにタイトルを取らなかったら辞めろって言ったんですとね」と天井を見上げたが「こんなに早く取れるとは思わなかった。生きていればいいことはある」と21歳での初タイトルに喜びをかみしめた。

 宮田八段は「辛抱強さが勝つのが将棋。一番大事なこと」と教えてきたといい「辛抱強いし、将棋の勉強量は半端じゃない」と成果を認めた。

 師匠には勝利後30分以内にお祝いメールなど30件以上が届いた。今後も同い年の藤井聡太7冠とは今後も名勝負を繰り広げることを期待。「藤井さんともっともっと戦えるようになってほしい。これからもずっと続いてほしい」と願った。

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