異様な光景…高さ70m“巨大な要塞” 高速道路の「岩塊」撤去工事 見学応募は50倍以上の人気

群馬県安中市の上信越道のトンネルの上で進められている岩場の工事現場。まるで「巨大な要塞」のように見える。現在、岩の撤去作業を行っていて、6月16日、その工事が一般公開された。36組限定だったが、大人気で倍率はなんと50倍以上だった。

(※外部配信先では動画を閲覧できない場合があります。その際はFNNプライムオンライン内でお読みください)

“巨大な要塞” 2017年から撤去工事

上信越道上り線、碓氷軽井沢インターを過ぎてしばらく走っていると、見えてくる異様な光景。巨大な要塞のようだ。

よく見ると工事現場の足場が組まれている。一体何なのだろうか?

実は大きな岩の塊=「岩塊」。高さは70mにも及ぶ。

群馬県安中市の北野牧トンネル上部。2017年からこの岩の塊を撤去する工事が進んでいる。要塞のように見えるのは、周囲を足場でぐるりと囲んでいるからだ。

ファン注目 倍率50倍以上

ネクスコ東日本の長野工事事務所の所長は「地震の発生に対するリスクもありますし、長年の風雨によって劣化、風化する現象が起きます。そうすると落石する恐れがあるので、今の段階から計画的に取り除こうということになっています」と説明する。

6月16日は工事の様子が一般公開された。高速道路や土木工事のファンからも注目されていたため、36組72人限定のところ応募はなんと1866組。倍率は50倍以上になった。

掘削工事を間近に…大満足

参加者は「もともとインフラが好きでダムなどを巡っている」、「(参加できるのは)2%だというのでよかったな」と興奮気味に話す。

参加者が降り立った黄色いエリア、地面が動き出した。

工事現場の担当者は、「ダンプは20トン&20トンで計40トンの荷物を上げるんです」と説明。

インクラインと呼ばれる大型の昇降装置。20トンのダンプ2台を載せて運ぶことができる。これに乗って一行は岩の上に。

「(岩は)コンクリートの3倍くらいの硬さがあり、簡単に壊すことができません。押すのではなく引っ張る力で割っています」

参加者は担当者の説明を聞きいっていた。

岩を砕く「ビッガー」という重機。岩に開けた穴にビッガーの先端を入れていき、先端が二股に広がることで岩を砕く仕組みだ。

岩に割れ目ができ広がっていく―。

見学が終わった一行は専用のエレベーターで降りて道路脇へ。掘削工事を間近に見ることができ、大満足。

参加者は「感無量。前々からここを通って走行している時に絶対に見てみたい、ゆっくり見てみたいと思っていた」、「下から見る眺めもすごいが、その眺めの上にいるというのもすごいなと」、「普段見られない裏側を見られた。どうやって掘削してるか、ずっと疑問に思ってたことが解決できたので、すごい技術が使われてるんだなと伝わりました」と、口をそろえて感動したと話していた。

工事終了は2029年の予定

少しずつ岩を削っていき工事が終わるのは2029年の予定。ネクスコ東日本は工事による規制や渋滞などに協力を求めている。

ネクスコ東日本の長野工事事務所の所長は「この工事は何をしてるのかなということに対しては、高速道路を安全安心に利用していただくための重要な工事なんですよと思いがありまして、安全に安心に通れる道路を造りたいと思っています」と話した。

(長野放送)

© FNNプライムオンライン