「茨城のゴールドコースト」砂浜消失で海開き断念 毎年2万人訪れる人気海水浴場に異変…専門家「防災効果も低下」 鉾田市

サーファーにも人気で「茨城のゴールドコースト」と呼ばれている茨城の大竹海岸鉾田海水浴場で砂浜が年々減少し、2024年夏の海開きを断念することが分かった。専門家は、この海岸浸食は「全国的に起きていて、防災効果も低下する」と警鐘を鳴らす。

毎シーズン2万人以上が訪れる人気海水浴場

人気の海水浴場の砂浜が消えたーー。

茨城・鉾田市にある大竹海岸鉾田海水浴場は、約1キロにわたり砂浜が広がる美しい景観。

遠浅の地形でサーフィンにも適していることから、「茨城のゴールドコースト」と呼ばれ、毎シーズン2万人以上が訪れる人気の海水浴場だ。

しかし、2024年夏、砂浜の消失を理由に“海開き”を断念することとなった。

数年前と比較すると…明らかに砂浜が減少

市の担当者:
近年ですと砂浜がどんどん減っていってまして…。

数年前の海岸の様子を見ると、一面に砂浜が広がっていたが、2024年6月19日に見てみると一目瞭然。砂浜が消失したことにより、護岸ブロックがむき出しの状態になっているのが分かる。

本来ならば、砂がふたをしたような状態となっているのだが、砂不足の影響で、穴が空いたような状態となっていた。

さらに、本来コンクリートの下に埋まっている基礎となる岩が波の力で砂浜へと流され、危険な状態になっていた。

市の担当者:
浜辺に石がゴロゴロとありまして、浜辺を歩くにも危険な状況。
そういったことも考慮しまして、(海水浴場の)開催を断念・中止した。

海水浴場の開催中止に、地元の人は複雑な心境だという。

地元住民:
悲しいですよね、非常に。子供たちの楽しい顔が今年見られないのはやっぱり残念ですよね。「せっかく大竹海岸に来たのに浜ないじゃん」ってお客さんいるんですよ。非常に恥ずかしいです。悲しいというより恥ずかしい。

近年の沿岸開発により砂の供給が減少

なぜ砂浜が消えたのかーー。

管轄する茨城県によると、大竹海岸の砂は二つの川から流入する土砂が波に乗って、運ばれることで、砂浜が保たれてきた。

しかし、近年の沿岸開発により砂の供給が減少し、十分に行き渡らなくなったことが原因とみている。

県は流出する砂の量を減らすヘッドランド整備や、砂の供給を続けるなど対策を続けてきたが砂浜は失われ続けているという。

専門家「防災の面でも深刻な問題」

海岸工学に詳しい専門家は、砂浜がなくなることは、防災の面でも深刻な問題だと指摘する。

海岸工学が専門の茨城大学・横木裕宗教授:
波の力を弱める効果として、砂浜はすごくいい機能を持っている。台風が来ても砂浜の幅が広かった時は(砂浜により)波が砕けてくれる。それが家や道路の近くでバシャンと打ち寄せる、そういう状況になります。

砂浜の消失が進む茨城県の海水浴場。こうした状況はここだけに限らないとう。

海岸工学が専門の茨城大学・横木裕宗教授:
洪水対策でダムをたくさん作って安全に住めるようになったが、同時に河口から土砂を流す機能が減ってきたことで、全国の海岸・砂浜で海岸侵食が起きている。

観光資源でもある海水浴場の断念に、岸田一夫・鉾田市長は、「来年以降の開催に向けて、一刻も早く砂浜の状態が改善するよう、引き続き海岸の管理者である県・国等に対策を要望していきたい」と話した。
(「イット!」 6月20日放送より)

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