南町田拠点沼田さん F4出場に向け奔走 今年、アメリカ大会目指す 町田市

レーシングカートと沼田さん(本人提供)

アメリカで開催される自動車レース「F4」への出場を目指し、南町田を生活拠点とする沼田拓海さん=中面・人物風土記で紹介=が奔走している。単身で渡米して所属を希望するチームと交渉しスポンサー獲得にあたるなど、準備を進め、沼田さんは「将来的にはF1の舞台で戦うことを目指したい」と意気込んでいる。

F4は、世界最高峰のレースとして名をはせる「F1」ドライバーを目指す人が最初の関門として位置付けるレース。通常の自動車とは異なる「フォーミュラ」というレーシングカーに乗り、順位を競う。

「おとなしい方なので、まさか自分が挑戦することになるなんて意外だった。もっている技能を生かして、結果を出せるようになりたいと思う」と話す沼田さん。初めてF4に乗った際には、最大200キロにも及ぶ速さが「怖かった」と振り返る。

17歳でレーシングカートを始め、「1年で結果を出す」ことを目指していたという沼田さん。その積極的な姿勢が功を奏し表彰台に上がり、レベルの高いレースにも出場するなど、経験を積み上げてきた。

一方で、F1出場を目指すライバルたちは小学生のころから経験を積んでいるドライバーが多く劣等感を抱くこともあったが、「同年代のライバルたちは引き出しが多く、経験値の差を感じる場面も多くあった。ただ、クラッシュを重ねながらでも、自分にできる限りのことをしようと取り組んできた」と沼田さんは話す。

きっかけはゲーム

沼田さんがカーレースに引き込まれたのは中学2年生のころ。たまたま見たF1のゲーム動画がきっかけだった。単に速さを競うのではなく、戦略を立て勝利を目指す競技に面白さを感じ、実際のレースに挑戦したいと思うようになったという。「当時は何か自分のスキルになるものを――と模索していたころでもあった。高校3年となり挑戦することにした」

そして、現在は自宅の環境を整え、実際のレースを高精度で再現したオンラインレーシングシミュレータ「iRacing」を用い練習を行っている。先ごろ行われた同シミュレータを用いた大会では、日本人約200人の参加者のなかで2位を獲得するという好成績を残した。

一方で単身で渡米し、現地の視察やチームとの交渉、実際のコースを走行するなど着々と準備を進め、現地ではプロの選手と僅差に迫るタイムを出せたこともあったという。「バーチャルの世界だけでなく、実際のレースで活躍できるようなレーサーになりたいと思う」と笑顔をみせる。

いずれはF1へ

沼田さんが最終的に目指すのは、2028年までにF1に出場すること。「そのためにもまず今年はアメリカでF4に挑戦したい。年齢を重ねるごとにランクを上げていければ」と話す。

「夢に挑戦していくことで、得るものは大きかった。自分の姿を見て、誰かの踏み出すきっかけになればうれしい」としている。

フォーミュラカーに乗車する沼田さん

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