河内川のあじさい祭り 実行委高齢化、開催困難に 5年連続で中止決定 平塚市

手入れの行き届かないあじさいを指す石井会長

あじさいの名所として知られる河内川の「あじさい祭り」が、継続の危機に直面している。実行委員会の高齢化が進み、花の維持管理が困難になったことが理由だ。5年連続となる中止を決めた石井豊会長(78)は、「解決には若い世代の力が必要」と訴える。

かまくら橋から下河原橋の約1・4Kmにかけ、西洋アジサイやガクアジサイが人々の目を楽しませる河内川。毎年6月上旬に開催されるあじさい祭りも、地域の風物詩として親しまれてきた。

しかし、新型コロナが流行した2020年は感染防止のため中止を決定。以来、イベント開催の規制が緩和された後も開催できずにいる。一番の原因は、実行委員会の「高齢化」だ。

祭りを主催する河内川あじさいの会は24年前に発足。不法投棄などで美観が損なわれていた河内川をきれいにしようと旭地区の美化推進委員会が立ち上がったのを契機に、纒や河内の地域住民が集まった。発足当初40人ほどいたメンバーは今も在籍しているが、全員が70代から80代。あじさいの手入れを行えるメンバーは、半数にも満たないという。

一度あじさいが咲いた後、翌年に綺麗な花をつけるためには、適切な花を摘み取り剪定を行う必要がある。しかし、石井さんは「あじさいが植わっている土手は急な斜面が多い。高齢者にとっては危険な作業になる」と話す。

中止となった当初、全体で1500株ほどあったあじさいは、昨年の酷暑の影響もあり1000株足らずまで減ってしまったという。最盛期には両岸にあじさいが並んでいた旭北公民館裏の土手も、今は片側に花を残すのみだ。石井さんは「手が追い付いていない状態。解決には若い世代の力が必要」と嘆く。

子どもの学び場も

同会は祭りだけでなく、旭小学校や近隣の児童を招いた生き物観察会を主催してきた。河内川にはコイやフナ、オイカワ、アユが生息し、子どもたちの学び場になっていたが、祭りと同様に20年からは中止が続く。

石井さんは、河内川が多くの子どもたちでにぎわっていたかつての光景を懐かしむ。「現状ではどちらも再開は難しい。でもいつか子どもたちの声を聞ける日がくれば」と思いを語った。

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