祇園祭でお酒「ショーじゃない」 1席40万円「プレミアム観覧席』八坂神社トップが苦言「疫病に対抗できる祭りに戻したい」 京都市

京都を代表する神社の一つ、八坂神社の野村明義・宮司と、京都市観光協会が20日、会見を行い、2023年に続き2024年も販売される日本三大祭りの一つ「祇園祭」プレミアム観覧席に対し、宮司が「神事にはお酒はつきものだが、ショーを見るような形でのふるまい方はいかがなものか」と苦言を呈した。7月に迫る「祇園祭」はどうなるのかーー。

日本三大祭り…2023年は延べ82万人が観覧

毎年7月に行われ、京都に夏の訪れを告げる「祇園祭」。日本三大祭りの一つに数えられ、2023年は延べ82万人が訪れた。

2024年の開催が迫る中、注目の会見が20日に行われた。

八坂神社の野村明義・宮司:
昨年「プレミアム観覧席」というのが設置されまして、内容につきまして、ちょっと自分でも驚いた次第であります。プレミアムの席が今年も値段を下げて設置をされるということで…。どうもお酒やお料理が出されるということが分かりまして、ちょっと私の思いと少しずれていると。

2023年に観光協会が初めて売り出した、1席40万円の『プレミアム観覧席』。

祇園祭の最大の見せ場は、巨大な山や鉾(ほこ)が市内を練り歩く「山鉾巡行」だ。中でも見せ場となるのが、曲がり角で90度転回する「辻回し」。この山鉾巡行は、新型コロナの影響で中止が続いていたが、2023年、3年ぶりに再開された。

宮司は“酒の振る舞い方”を問題視

その復活に合わせて初めて京都市観光協会が設置したのが、『プレミアム観覧席』だ。

“海外の富裕層に京都の文化を発信したい”として、畳に座椅子を置いた和風の席を設け、山鉾巡行を目の前で見物できる、まさしく『特等席』だった。

外国語の音声ガイドで解説が流れるほか、京料理などを味わいながら観覧できるとあって84席のうち8割ほどが売れたという。

祭りを執り行う八坂神社のトップ、野村宮司は、どのような点を問題視したのか。

八坂神社の野村明義・宮司:
神事にはお酒はつきものだが、その飲み方、飲ませ方が神様を感じ取っていただける、ありがたいお酒ならいいが、ショーを見るような形での振る舞い方はいかがなものか。

2023年のプレミアム観覧席を見ると、テーブルの上には日本酒やワイン、そして缶ビールが並び、外国人客が様々なお酒を楽しみながら観覧していたことが分かる。

2024年は1席20万円…酒と食事の提供はなし

観光協会の理事も務める野村宮司は、このままでは、八坂神社が食事や酒を伴う鑑賞方法を推奨していると受け取られかねないと、強い懸念を示していたのだ。

京都市観光協会は2024年もプレミアム観覧席を販売、最高価格を20万円に抑え、全60席とする予定だという。

京都市観光協会の関係者は「神社側に説明をできておらず、大いに反省している」としたうえで、野村宮司から指摘を受けた酒の提供については、「冷たいソフトドリンクだけ。酒類は出さない」とし、食事の提供もしないという。

そもそも祇園祭のはじまりは、平安時代の疫病退散を願う祭礼だった。

野村宮司は、新型コロナという疫病が令和の世に流行ったことを経て、「かつての祇園祭、祇園御霊会(ごりょうえ)、疫病に対抗できるお祭り、神社に戻したいというのが一つの思いであります」と訴えた。
(「イット!」6月20日放送より)

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