【インド】インド産水牛モッツァレラチーズ、日本販売へ[食品]

インド産の水牛モッツァレラチーズが、2025年2月にも日本国内で初めて販売される見通しだ。画像編集のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業を手がけるメディア・バックオフィス(東京都千代田区)が、進出先である南部カルナタカ州の水牛ミルクのおいしさや安さに着目した。

メディア・バックオフィスの渡邉堅一郎社長が20日、NNAに明らかにしたところによると、販売開始の25年はバターや冷凍ピザ、アイスクリームなどを含め1億円、28年には10億円の輸入販売を目指す。事業化によって、インド拠点周辺の農民の生活水準底上げも目指す。

■イタリア産より安く

渡邉氏によると、高価格帯ピザのモッツァレラチーズは乳牛ではなく、うま味が出やすい水牛が多い。日本では水牛がほとんど飼育されていないため、流通する水牛モッツァレラチーズはイタリア製がほとんど。水牛ミルクのイタリア現地価格は1リットル当たり230~250円、インドでは70~100円と安いが、日本の輸入検疫のハードルが高いため、これまで取り扱う業者はいなかった。日本ではイタリア産の冷凍モッツァレラチーズが1キログラム4,000~7,000円。日本産乳牛の冷凍モッツァレラチーズが2,500~3,000円で販売されており、日本産乳牛と同価格帯で販売する考え。水牛飼育が多いことから乳製品加工が盛んな北部ハリヤナ州で当面は委託加工するが、カルナタカ州内での委託を検討中。

東京で21日まで開催の食品展示会「JFEX」で、サンプルで輸入したチーズの試食が行われている。生食で食べると、イタリア産に比べ酸味やミルクの風味の弱さがあるようで、硬めなのは好みが分かれそうだ。来場したもんじゃ焼き店などが興味を示したという。一方、衛生面の懸念の声もあった。国際標準化機構(ISO)の認証などを取得した工場に限定して委託し、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を行うことで安心してもらうという。

渡邉氏によると、インドのピザ店ではインド産のモッツァレラチーズが使われているケースが多い。イタリア産水牛モッツァレラチーズの価格が高くなりつつあることから、業界ではイタリア向け輸出の動きも本格化しそうだという。

06年に創業したメディア・バックオフィスは12年にインドに進出。現在のインドでの従業員は270人。州都ベンガルール(バンガロール)から約100キロ離れたカルナタカ州トゥマクルにある。根気が求められる作業が多いことやIT企業が少なく離職率を抑えられることからトゥマクルを選んだ。

食品展示会「JFEX」で試食提供を行うメディア・バックオフィスの渡邉堅一郎社長(左)=20日、東京ビッグサイト(NNA撮影)

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