宝塚歌劇・宙組 約9か月ぶり再開「待っていた きっと再生できる」多くのファン、宝塚大劇場へ

再会初日、多くのファンが足を運んだ宙組公演<2024年6月20日 12時32分撮影 宝塚大劇場>

宝塚歌劇団の宙組(そらぐみ)公演が20日、本拠地の宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で約9か月ぶりに再開した。
宙組をめぐっては、所属していた劇団員の女性(当時25歳)が昨年(2023年)9月30日に急死し、10月1日から休演中だった。
宙組では今年に入り、女性の同期生と下級生(後輩劇団員)の4人が退団したが、上級生を含むその他の劇団員は今回の公演に出演している。

【画像】宝塚大劇場・宙組公演再開

宝塚歌劇の舞台は通常、芝居とショーの2部構成だが、準備期間を確保し万全を期すためとして、今回はショー「Le Grand Escalier ル・グラン・エスカリエ」のみの公演となった。6月30日まで宝塚大劇場、7月20日~8月25日には東京宝塚劇場(有楽町)で予定されている。

観劇した神戸市垂水区の40代女性によると、公演時間は午後1時から約80分間で、いつもの初日と変わらず、満席だったという。中には涙ぐむ人もおり、「いよいよ(宙組が)戻ってきたという雰囲気だった」という。
開演前に村上浩爾理事長が登壇、「公演の中止や演目変更等、お客さまに大変ご心配とご迷惑をおかけしましたこと、改めて深くおわび申し上げます。今後も引き続き誠心誠意つとめてまいりますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます」と謝罪の言葉を述べた。
しかし、一連の問題については具体的に言及しなかった。

大阪市都島区の50代の女性は、30年来の宝塚歌劇ファン。「きっと再生できると信じている。確かに、クオリティーを落とすわけにはいかず、舞台芸術の伝承には厳しさが必要だと思う。しかし、節度を持って稽古に励んでもらいたい」と話した。
また、宝塚市の30代の女性は「9か月間、待っていた。(厳しい指導をしたとされる上級生)は舞台に立っていたが、ほかに退団者が出たのは残念。新しい歴史を刻んでほしい」と期待を寄せた。

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歌劇団は今年3月、女性に対する上級生のパワーハラスメントの事実を認めた。歌劇団を運営する阪急電鉄を総括する、阪急阪神ホールディングス(HD 本社・大阪市北区)の角和夫会長らが遺族を訪問して謝罪し、遺族と和解した。

歌劇団は、女性の急死を受け、昨年から歌劇団関係者へのヒアリングを進めていた。村上理事長は、これが組織風土の見直しや再発防止への糸口になったことを明かし、「継続して進めたい。終わりのないこと」と述べた。
そして、「これまでの110年間、歌劇団で伝承されてきた多様なルールや指導のあり方について、古くからの伝統や慣習が積み重なり、非効率なもの、過剰な気づかいや負担が生じているケースがあった」としている。

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