「アルコール検査3回目 数値ゼロ」国交省に虚偽報告 真岡鉄道、飲酒基準超えSL運転問題で

真岡鉄道のSL

 真岡鉄道(栃木県真岡市)で4月、SLの男性運転士(51)らが運行前のアルコール検査で基準を超える数値が出たのにSLに乗務した問題で、同社が5月下旬、国土交通省関東運輸局から問題について問い合わせを受けた際、「運転士のアルコール検査を3回行い、3回目の数値がゼロだった」と事実と異なる報告をしていたことが20日、運輸局や同社への取材で分かった。実際は3回目の検査をしていなかった。運輸局は「検査の不備が分かっていれば調査していた」とし、当時の報告などを問題視している。

 運輸局によると、5月21日、「SLの運転士がアルコール検査で引っかかっているのに乗務している」と電話で情報提供があった。運輸局は同日、同社に社内調査を指示した。同社はその日のうちに電話で「運転士に聞いて、2回の検査の数値は高かったが、3回目がゼロだったので乗務した」と回答。運輸局は対応に問題はないと判断した。

 同社は当時、安全統括管理者の男性事業部長(53)が運輸局とやりとりし、内容を役員らに報告していなかったという。同社は「運転士の話をうのみにし、よく調べずに曖昧なまま報告をしてしまった」と弁明。「後から報告を聞いた。故意に虚偽を伝えたわけではない」としている。

 検査の不備や飲酒運転の疑いは6月上旬、匿名の情報提供を受けた同社が改めて調査を行い、判明した。

 運輸局は今月18日、問題を報じた報道で、報告と異なる同社の対応を把握。19日に立ち入り検査した。

 同社によると、4月20日朝、運転士は男性運転指令(43)とアルコール検査を実施。検査器による2度の検査で基準を超える数値が出たが、本来は実施する3回目を行わず、運転指令が目視で問題はないと判断。運転士はSLに乗務した。

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