市立病院 初の防水壁訓練 約1時間半で玄関囲む 厚木市・愛川町・清川村

パネルを運んで固定する病院職員

厚木市立病院(水引)で、6月15日に職員による防水壁訓練が初めて実施された。同院の地域は河川氾濫の浸水想定が1・86mとされ、昨年度に6億2千万円で高さ2・1mの防水壁(延長404・6m)を整備した。

災害拠点病院でもある同院は、地下には発電施設、1階の検査エリアにはMRIなどがあり、浸水への対策は防災面での重点項目となる。今回の訓練は防水壁の設置にかかる時間や人数の検証が目的だった。

防水壁は金属製の柱を立て、樹脂製の板をはめこんで作る。この日は放射線技師や事務職の20人が、台車で倉庫から玄関を何度も往復した。4人がかりで1本の支柱を持ち上げると、スタッフからは「重い」の声が。計190枚のパネルをレバーを動かして1枚ずつ固定する仕組みで、職員のシャツにはみるみる汗がにじんだ。

出入り口以外の防水壁が設置されると、玄関周りは薄暗くなった。当初は70分を想定していたが、かかったのは90分。病院には正面玄関のほか、救急入り口や職員玄関など出入り口が計9カ所あり、同様に防水板を設置する必要がある。

長谷川節院長は「柱のネジ締めの強さなど難しさもあった。本番が来ないよう祈っているが、皆さんが頼もしく見えた」と語り、施設担当の職員は「役割分担など工夫が必要。意見を聞いて改善していく」と話した。

河川水位で判断

設置に関するマニュアルでは相模川(相模大橋)や小鮎川(堺橋)が避難判断水位になった場合を目安としているが、台風などの状況を注視して柔軟に対応する方針。

この日は河川の情報収集や、屋外に保管されている発電機や透析用材料の運び込みなどを想定した訓練も行われた。

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