「Uターン検討」4割超 首都圏の福島県出身者対象に初調査

 県は20日、首都圏で暮らす本県出身の若者を対象に初めて行った実態調査(速報値)で「県内への就職や転職を検討したことがある」との回答が4割超に上ったと明らかにした。「検討したことがない」と答えた人を含め、県内に戻らない理由には、収入面や希望する仕事がないことを挙げる声が多く、若者にとって魅力的な働く場の確保が喫緊の課題となっていることが浮き彫りになった。

 調査は県内で急速に人口減少が進む中、特に深刻な若者の県外流出に歯止めをかけようと、若者の県内定着に向けた要因把握などを目的に初めて実施した。18~34歳の512人から回答があり、県内就職や転職を検討したことがあるとの回答は43.4%だった。

 本県を離れるタイミングについては64.5%が進学で、多くの若者が大学進学などにより首都圏で暮らし始める実態が改めて確認された。「本県に愛着があるか」との質問では、7割が「ある」と回答した一方、将来的に本県に戻る可能性について「ある」「ややある」と回答したのは計25.2%にとどまった。本県に戻る可能性があるきっかけとしては「親や親族の介護や病気」「首都圏での暮らしに疲れた時」など、消極的な理由が上位だった。

 また、県内移住や定住について地域や企業に求める取り組みを尋ねた質問でも「給料の良い就職先を増やす」「働きたいと思える企業を増やす」と雇用の受け皿整備を求める声が多く、「女性・若者が楽しめる場所や施設を増やす」など生活の充実を希望する意見を大きく上回った。

 県内就職やUターンの受け皿整備に当たり、県は課題把握に向け、県内企業を対象にした実態調査も行っている。今回の結果とともに人口減少対策の指針となる次期「ふくしま創生総合戦略」策定に向けた議論に反映させる方針だ。

 20日の6月定例県議会で県民連合の荒秀一議員(相馬市・新地町)の代表質問に答えた内堀雅雄知事は、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスなどを重視する回答が多かったことに触れ「こうした観点を深掘りし、本県の魅力を発信しながら、若者の流出抑制や移住・定住の促進などに取り組んでいく」と語った。

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 実態調査の概要 本県出身で東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県在住の18~34歳を対象に、本県から転出した経緯やUターンの可能性、本県に対する愛着などを尋ねた。5月24日~今月2日にスマートフォンアプリを活用して実施し、512人(男性113人、女性399人)が回答した。

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