透析長期化、寝たきりになりやすく

栗田宜明氏

 福島医大大学院医学研究科臨床疫学分野の栗田宜明特任教授(45)らの研究グループは、透析患者の透析期間が長期になるほど、フレイル(虚弱)や寝たきりの頻度が高くなることを発見した。

 研究グループによると、日本は透析治療を30年以上受けている「超長期透析患者」が世界で例を見ないほど多く、近年も増加傾向にあるが、臨床的な特徴は明らかになっていなかった。研究グループは超長期透析患者の特徴を明らかにし、透析期間とフレイルや寝たきりとの関連を調べた。

 研究グループは日本透析医学会統計調査データベースから、2018年時点で50歳以上の透析患者22万7136人(このうち透析歴30年以上は5510人、2.4%)を解析。その結果、透析歴30年以上の症例として大腿(だいたい)骨骨折や、合併症の一つ「手根管症候群」の手術既往が多い傾向が見られた。また、年齢の影響とは別に、透析期間が長い患者は短い患者と比較して、フレイルや寝たきりの有病率が増加した。

 透析期間の長期化が身体機能の低下に関連することが示された形で、現在の透析療法では対応できていない可能性が分かった。今後は、長期透析患者のフレイルや寝たきりの発症の背景に、どのような要因があるのかについて研究を続け、透析療法を長期間継続しても身体機能が保たれる医療の提供につなげる。

 研究グループは栗田氏のほか福島医大大学院の新畑覚也博士研究員、新潟大、九州医療科学大、東京女子医大、日本大などの研究者で構成する。研究成果は12日に科学誌に掲載された。

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