日本株は「少子高齢化」で先細り…は見当違いのワケ。国内経済の<影響を受けにくい株>の特徴とは【プロ投資家が助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

日本は少子高齢化により、今後の国内経済規模の縮小が予想されます。国内経済に影響を受けにくい企業株の特徴について、プロ投資家の澤上篤人氏と渡部清二氏が対談形式で解説します。

少子高齢化でも伸びる会社は伸びる。

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渡部 評論家の中には、「日本株は、少子高齢化、人口減少で先は暗い」と馬鹿なことを言う人もいます。

澤上 それは、本当に馬鹿なマスコミや評論家の言葉よ。真の投資家は、そんなは言わないよ。少子高齢化だろうがなんだろうが、伸びる会社は伸びるんだよ。世界が成長していくから、日本がどうであろうと問題はないよ。

たとえば、ネスレってあるじゃん。世界最大の食品会社。売上は12兆円、13兆円。キリン、アサヒ、サッポロ、味の素、カゴメなどを5つ6つぐらい束ねて、ようやく一緒ぐらいの会社ね。これはスイスの会社。

ところが、スイスなんて780万人しか人口はいない。そのうち100万人が外国人。だからスイス国内は、ネスレの売上の3%なんだ。97%は世界。国連に加盟していない国も入れると、280ヵ国ぐらいで商売をやっているわけ。

最近、アクティビストにちょっと騒がれているけれども、そんなのお構いなしにネスレは長期で安定して、堂々とやっている。スイス国民はネスレの株を買っておけば、自分年金になるじゃん。そう考えたら、人口が減ろうが、関係ないじゃん。これが個別株の強さなのよ。

丁寧に企業を見ていく。そしたら、日本経済の先行きが暗いとかとは関係なく、頑張っている会社はいくらでも見つけられる。ここなのよ。大事なポイント、これが個別株投資の肝なんだ。

成長しなくても投資価値は高まる

澤上 日本の企業も、これからグローバル化で伸びる。トヨタはだいぶ来ているけれども、本当のグローバル企業になるのはこれからなのよ。

渡部 現在、株式市場の評価の仕方って、まさに「人口が増えれば生産が伸びる、だから買いだよね」というのが当たり前のように言われているんです。つまり、成長=株価で、成長する会社以外は上がらないような雰囲気になってきたんですけど、私は違うと思っているんですね。

澤上 俺も、馬鹿にしている。そんなの。

渡部 ええ。それはまさに人にたとえたら、ずっと成長しろよと言われて、30歳、40歳になっても、体力を伸ばして、身長も伸ばせって言われても、できるわけがなくて。成長の種類というものが、いわゆる先ほど言いました定量の成長と定性の成長がある。

定性の成長は、見た目は老いていくのですが、人間の中身としては成長がすごいわけじゃないですか。私は、これからはそういうまさに見えない定性の成長の時代になるのではと考えます。

澤上 熟成も含めて、フィジカルだけじゃなく。

成長しなくても「長期で構えれば、それなりの投資になる」

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渡部 森林にたとえれば、今までは20年で急激に太った木に高い値段がついて、500年じっくり育った木の値段が安いみたいなことが起きているわけです。

澤上 おかしいよね。絶対。

渡部 おかしいですよね。だから、そういう反動がこれから起こるのではと考えています。そういうものを含めて、とにかくガラガラポンの入れ替えがこれから起こるというようなイメージを持っているのですが、澤上さんはどうお考えですか?

澤上 まったく同感。それをもっと極端に言っちゃうと、別に成長せんだっていいのよ。理論的に言うと、たとえばそこそこ利益が出せて、そういった経営がずっとつづいている企業が、仮に経常で10%ぐらいの利益を出しているとしようか。そうすると、税金4%払っても6%分は残る。残ったお金のうち、3%を配当で払う。3%は内部留保。この内部留保の3%は株主のものだよね?

渡部 はい。

澤上 ということは、1.03にまた3%。それがずっと続くわけよ。そうすると、内部留保の分だけは間違いなく投資価値が高まっているわけね。つまり、株式価値が毎年高まっているわけよ。さっぱり利益が伸びなくても、株式価値が高まっているわけ。成長せんでも投資価値が高まっているから、必ずどっかで株価に反映される。つまり、長期で構えれば、それなりの投資になるよと。

渡部 なるほど。

澤上 しかも3%でしょ。そこへ、マーケットの大きな下げで安く買っておき、上がってきたところを売って3%のリターンを出せば、何もせんでも6%ぐらいにはなっちゃうじゃない。こう考えると、株式投資なんて楽なものなんだがね。

澤上 篤人

公益財団法人 お金をまわそう基金

代表理事

渡部 清二

複眼経済塾

代表取締役塾長

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