【郡山発酵まつり】連携広げる好機に(6月21日)

 「こおりやまSAKE&発酵まつり」が10月、郡山市で初めて開かれる。市内にとどまらず、こおりやま広域圏17市町村内で発酵関連商品の製造・販売を手がける事業所が出展する。各地に根付く発酵食品を知ってもらい、連携の輪を広げる好機とするよう求めたい。地域活性化に向け、特色ある食文化の醸成にもつながる。

 郡山商工会議所などでつくる実行委員会が10月25日から27日までの3日間催す。毎年2月に開いていた日本酒の新酒まつりを衣替えし、発酵食品全体に内容を広げた。

 初日は郡山酒造協同組合の6蔵元が集う「SAKEまつり」を繰り広げる。この時期ならば、ひと夏熟成した「ひやおろし」「秋あがり」といったお酒が味わえる。2日目は発酵まつりとウイスキー展示会の前夜祭で、全国のウイスキー生産者とファンの交流会がある。漬物やチーズといった地元の食品を提供するなど工夫を凝らし、多彩な発酵文化を売り込みたい。

 発酵まつりは最終日に予定されている。県北、県南、会津地方にまたがる広域圏の産品を存分に楽しめる。

 発酵食品と言っても範囲は幅広い。身近なのはみそ、しょうゆ、みりん、酢などの調味料だろう。ぬか漬け、かす漬けといった各種漬物やチーズ、ヨーグルト、パンをはじめ、近年増えているワイナリーやクラフトビール工房の商品も加わる見通しだ。出展者の募集が間もなく始まる。より多くの参加を促し、まつりを成功させるには、郡山市や広域圏の積極的な働きかけが欠かせない。

 盛り上げには若い世代の来場を促す仕掛けも必要だ。親子や子ども向けの発酵食品づくり体験や料理教室が計画されている。大学、専門学校、高校などにアイデア料理の考案を呼びかけたり、来場者に発酵ツーリズムの誘客ルートを考えてもらったりしてはどうか。郡山市内で暮らす外国人の国籍は約60カ国に及ぶ。海外の発酵食品を紹介するブースを設ければ、まつりの厚みが増す。

 初の試みだけに手探りの部分もあるだろうが、一過性の催事に終わらせてはもったいない。発酵文化の継承と発展に向け、担い手世代を巻き込みながら持続可能な開催策を探ってほしい。(湯田輝彦)

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