除染作業始まる 福島県浪江町の特定帰還居住区域

特定帰還居住区域の浪江町羽附地区で始まった除染作業

 環境省は20日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県浪江町の特定帰還居住区域の除染作業を開始し、報道陣に現場を公開した。改正福島復興再生特別措置法に基づき創設された同区域で除染が始まるのは大熊、双葉両町に続き3例目。

 今回の除染範囲は町内の特定帰還居住区域約710ヘクタールのうち52.6ヘクタール。家屋など71件も解体する。来年3月までに完了させる予定。残る地域は環境省が順次、除染を発注する。20日は羽附(はつけ)地区の水田で、作業員が伸びた草を除草し、バックホーで5センチほど表土を削り取った。

 環境省によると、町内の区域内の平均空間放射線量は、一部で国が避難指示解除基準の一つとしている年間積算線量20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)を上回っている。放射線量が局所的に高い「ホットスポット」が存在する可能性もあり、一層の線量低減を進める。他に比べ山あいに囲まれた地域もあるため、作業の安全性も配慮する。

 同省福島地方環境事務所の関谷毅史所長は「住民の方々が一日でも早く帰還できるよう、着実に作業を進める」と述べた。

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