マイカーでの有償送迎を検討 佐世保市、路線バスの大幅減便で 長崎

 長崎県佐世保市は20日の市議会一般質問で、バスやタクシーの便が悪い地域に限定して一般ドライバーが自家用車を使って有償で客を運ぶ「自家用有償旅客運送制度」の導入を検討していることを明らかにした。同市では近年、路線バスの大幅減便などで公共交通の使い勝手が悪くなっている。制度導入で公共交通インフラが貧弱な地域の解消につなげたい考えだ。
 永安健次議員(自民党市民会議)が「現状は公共交通の枠組みが崩れているのではないか」とただしたのに対し、中尾健一地域未来共創部長が答えた。
 同市では慢性的な運転手不足などを背景に、西肥自動車(西肥バス)が4月のダイヤ改正で3年連続の大幅減便を実施。2021年比で全運行本数の約3割が減便となっており、規模の縮小が著しい。タクシー業界も人手不足などが深刻になっている。
 制度は、自治体やNPOが運営主体となり、過疎地などで例外的に認められている。タクシー会社の管理下で一般ドライバーが旅客運送する「日本版ライドシェア」とは異なる。
 導入には、民業圧迫にならないよう周辺交通事業者との合意形成が前提となる。市は県内を含む全国で多くの導入実績があることから、本年度策定する次期地域公共交通計画に盛り込むか検討する。
 中尾部長は「公共交通の維持と活性化には市民の参画や協働が必要な時期にきている」との認識を示し、市民の意見を聞きながら検討していくとした。

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