ジブリファン「買収は今夏に向けての布石だったのか?」の疑念…日テレ24時間テレビ放送強行に批判殺到

批判の声が上がる中、今年も放送か?(C)日刊ゲンダイ

ジブリファンからの怒りの声が続々だ。日本テレビは6月20日、今年の「24時間テレビ」(8月31日~9月1日放送)のテーマが「愛は地球を救うのか?」であると発表した。併せて、毎年発売しているチャリティーグッズ「チャリTシャツ」について、今年はスタジオジブリの宮崎吾朗監督がデザインしたことも明かしたが、これに対し、《ジブリで悪しきイメージを払拭しようとする局の姿勢が気味悪い》といったブーイングが止まらないのだ。

というのも、24時間テレビをめぐっては、昨年11月に系列局の日本海テレビの元幹部による募金着服が発覚。今年2月には「24時間テレビチャリティー委員会」が再発防止策を発表したが、視聴者の間では《24時間テレビ嫌だな。募金の着服あったのに今年やるの?》といった反対の声が渦巻いていた。そんな中でいわくつきの番組のチャリティーTシャツのデザインをジブリが受注したとあらば、ファンの怒りは相当なものだろう。

ジブリをめぐっては今回のチャリTシャツについて余計な詮索を招きそうな出来事が起きていた。昨年10月に日テレはジブリの子会社化を実施していたからだ。これを覚えていたジブリファンからは《ジブリを子会社化させた結果がこれか? ふざけてる》《ジブリまで利用するか 子会社化したから好きに使えるもんね》といった、昨年のジブリ買収は今夏に向けての布石だったのではと訝る声が噴出しているのだ。

■悪意はなくとも「親会社」と「子会社」という力関係がある中での発注は悪手

同志社女子大学でメディアエンターテインメントを研究する影山貴彦教授は、「ジブリ買収が24時間テレビ実施の布石だったとは思わない」としながらも、「そもそも、今年については放送を中止すべき」と一刀両断。そのうえで、日テレがジブリにチャリTシャツのデザインを発注したことを「悪手」と批判した。

「悪意はなくとも『親会社』と『子会社』という力関係がある中で、よりにもよって不祥事が起きた翌年に、子会社にチャリティーTシャツをデザインさせるというのは悪手としか言いようがありません。買収のニュースを覚えていたジブリファンや視聴者からすれば、今回の出来事に対しては疑念を持って当然のことでしょう。今年のテーマ決定を伝える番組プロデューサーの声明を見ても、デザインを担当した宮崎吾朗監督の当初の反応が『決してポジティブではありませんでした』と書かれており、ジブリ側が相当悩んだ様子が伝わってきます」

併せて影山氏は、ただでさえ反対が多い中での24時間テレビの放送を行うことは、昨今の日テレに対する厳しい世論も絡み合い、「同局に対して非常に厳しいものになる」と警鐘を鳴らした。

「親会社と子会社という関係は、日テレがドラマ化した「セクシー田中さん」の作者・芦原妃名子さんが今年1月に亡くなった件と視聴者の頭の中で重なるのではないでしょうか。今回のデザイン発注が、視聴者の日テレへの心象をさらに悪化させることが容易に想像できます。このような状況では日テレが視聴者から『また権力を笠に着ている』と思われても仕方がないのではないでしょうか」

最後に影山氏は、「今の状況は日本テレビが24時間テレビの放送を強行するためにジブリを利用しているように見えてしまう」とも。ジブリがチャリTシャツをデザインするのは今年が最初ではないが、確かに、今年は時期が悪すぎるとしか言えないだろう。

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