パリ五輪代表最終レースの出だしは? 山下美夢有は「激しいゴルフ」で古江彩佳と同順位、畑岡奈紗は出遅れ

山下美夢有は初日1アンダーで終えた(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 初日◇20日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

「パリ五輪」の代表が決まる最後の戦いが幕を開けた。実質内定の笹生優花に続く2枠目を争う古江彩佳、畑岡奈紗、山下美夢有の3人。三つ巴の戦いの初日は、古江と山下が1アンダーで好発進。畑岡は5オーバーと大きく出遅れた。

大会前の世界ランキングは古江20位、畑岡21位、山下22位。わずかにリードしている古江は、4バーディ・3ボギーの内容。出だし10番で4メートルのパーパットを決め切り、11番パー5で1メートルにつけ初バーディを奪っていい流れに乗った。「怪しいスタートではあったんですけど、うまく耐えられた一日」。15番からの連続ボギーがありながらも、1つ伸ばして後半に向かった。

さらに伸ばして迎えた後半5番パー3では、ティショットがグリーン右手前の池につかまったが、処置後の残り60ヤードの3打目を4メートルに乗せ、ボギーで切り抜けた。「ダボがありえたボギーパットだった。パッティングは打ち切ることを大事にしていきたい」。途中はチャンスにつけても、決め切れないシーンが目立った。「あしたもアンダーで、少しでも上位に行けるようにしたい」と優勝争いに加わって週末に進みたい。

その古江の背中をわずか0.13pt差で追う山下は、6バーディ・5ボギーと「激しいゴルフ」だった。「なんとかアンダーパーで回れてよかった。チャンスについたのは少なかったけれど、ミドルパットが入ってくれた」と29パットだったグリーン上でリズムを作った。

この日のパーオン率は66.7%だったが、グリーンを逃したときにアプローチでカバーできなかったことを悔やむ。最終9番こそ残り14メートルからの3パットボギーだったが、ほかの4個は寄せきれなかったもの。「距離感が合っていなかった。(パターは)オーバーしてしまう部分もあって、タッチが難しい。攻めきれないところもあるので、ショートゲームでカバーしないといけない」。バーディを記録できているぶん、次は“スコアロス”を減らすことを目指していくことになる。

「考えながらプレーできたのですごい楽しかった。ボギーが多かったので、減らせれば、耐えるゴルフができたんじゃないかなと。あしたもアンダーパーを目指して、目の前の一打に集中して頑張りたい」。古江と同順位の現状では、パリ五輪の代表入りにも“一発逆転”とはならない可能性が高い。追いかける立場で、あすはリードを奪いたい。

畑岡は2バーディ・5ボギー・1ダブルボギーと崩れた。特に後半のアウトコースで「41」。4番では残り25ヤードのバンカーショットが「手を出してしまって、クリーンにいってしまった」と“ホームラン”してしまう5オン・1パットのダブルボギー。6番からはティショットが右へ、左へと曲がり、バンカーからのセーブもかなわず。4連続ボギーで締めくくることになってしまった。

「前半はティショットも安定して耐えるゴルフができていたけど、後半でラフに入ってからパーセーブすることが難しくなってしまった。イメージは悪くなかったけれど、思うような体の動きができなかった」。前半から少し違和感のあったショットが、後半の好プレーを妨げた。

木がスタイミーになるところも多く、2打目が出すだけになってしまえば、「3打目勝負」になるところもでてきてしまう。「とにかくバーディチャンスをたくさん作れるように。パターは悪くなかった。グリーンオンさせることが大事」と、この日9回のみだったパーオンを増やしていくことを求める。パリ五輪への切符獲得のためには、予選通過はマストだ。

あすは3人とも午後組でプレー。どの位置で2日目を終えて週末に向かうかが、代表入りに向けて重要な“第一関門”になる。(文・笠井あかり)

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