「自分変えたい」長崎の女子高生 英国フラワーショーに同行 庭園デザイナー石原さんが招待 

石原さん(右)からマツの手入れを教わる藤本さん=ロンドン(本人提供)

 毎年5月に英国王立園芸協会が主催する世界最高峰の造園コンクール「チェルシーフラワーショー」。2004年から16回出場する長崎市出身の庭園デザイナー、石原和幸さん(66)の招きで長崎県立鳴滝高通信制3年の藤本めいさん(18)=雲仙市小浜町=が現地に2週間余り滞在し、作品制作に参加した。
 きっかけは2月に同校であった石原さんの講演会。「若いうちに世界を知ってどんどん経験してほしい」。仕事をしながら学ぶ生徒やそれぞれに目的を持って励む生徒に語りかけるうち、石原さんは気持ちが盛り上がってきて衝動的にその場でこう提案した。「この中から誰か、一緒にロンドンに行こう!」
 そのパワフルな言葉に「自分を変えたい」と気持ちを動かされた藤本さん。急いで書いた作文が選ばれ、初めての海外行きが実現した。
 現地では大きい花市場への買い付けに同行し、植物の手入れや清掃などのほか、寝食を共にする職人たちの生活面をサポート。コンクールに参加した各チームの庭造りの過程を間近で見ることができた。グリーン一色の洗練された庭、見たことのない植物…。「目が忙しかった」と充実の旅を振り返る。

「帰国後は自信が付き、前向きになった」と話す藤本さん=県立鳴滝高

 藤本さんの家はジャガイモ農家。現地滞在中、主食のジャガイモが話題になった時、藤本さんが「うちのジャガはほくほくしとっとですよ」と誇らしげに話していたのが石原さんの印象に残っているという。
 「ご両親が作るジャガイモの質の良さも再認識したはず。世界の人が集まってくるような、花いっぱいの農園が一緒にできたら最高ですね。今後も鳴滝高の生徒たちと関わり、支援したい」と石原さん。
 帰国後、藤本さんは「楽な道に逃げるタイプ」だった自身の変化を感じている。言葉が通じず買い物で苦労したことも、外国人の現地スタッフとボディーランゲージを交えて意思疎通を図った経験も糧になった。「自分から挑戦したい」。世界に踏み出して得られた前向きな気持ちで、将来を思い描いている。

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