「木くずに灯油混ぜ燃やした」 火元とみられる製材所の従業員証言 青森・大鰐町の大規模火災

火元とみられる製材所周辺。現場には木材や木くずが多くあった=20日午後2時25分ごろ(東奥日報社ドローンで撮影)

 19日午後、青森県大鰐町大鰐の製材所や住宅など少なくとも12棟が全半焼した火災で、火元とみられる製材所の男性従業員が20日、東奥日報の取材に応じた。出火当時、「(ごみとして出た)木の皮を燃やすため、くずのこ(木くず)に灯油を混ぜて燃やした。火を消さないまま、しばらく仮眠を取っていた」と証言した。弘前消防本部は、製材所で焼けた木材の熱から風が発生し、火災が拡大した可能性がある-との見方を示した。

 この従業員は19日午前10時半ごろ、木材から剥(は)いだ木の皮をドラム缶で燃やす作業を一人で行った。燃えやすいよう、木くずに灯油を混ぜたという。

 午前11時40分ごろ工場2階の休憩室に移り、仮眠。ドラム缶の火は消していなかった。午後1時ごろに起床すると外からバキバキという音がして、屋外に出るとドラム缶の火が近くの資材置き場に燃え移るところだった。直後に119番通報した。

 火は資材置き場から工場、事務所へと広がり、風向きが変わると、西側の住宅地に飛び火した。「あっという間に燃え広がり、5分ほどで多くの建物に燃え移った」と振り返った。

 火災拡大の背景として、風の発生や川の水位の低下を挙げる声も出ている。弘前消防本部予防課の担当者は「火元とみられるのが製材所で、敷地に燃えやすい木材があった。大きな火が起こると熱で風が発生し、火災拡大の一因になった可能性がある」と推測した。

 19日に消火作業に当たった30代の消防団員は「風が時折強く吹き付け、風向きもころころ変わっていた。近頃は雨が降らず、(取水する)川の水位が低かったので、消火活動に時間がかかった」と語った。

 一方、製材所の別の男性従業員は「かつては焼却炉で燃やしていたが、法改正に伴い焼却炉が使えなくなり、何年か前からドラム缶で燃やすようになった。週の半分ぐらいは燃やしていた」と証言。ドラム缶による廃棄物の焼却に関して、県環境保全課の担当者は「有害物質放出の恐れがあるため、産業廃棄物処理法違反だ」と指摘した。

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