秘伝の味を受け継ぎながら、新たな取り組みにも挑戦する鮮魚店

福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今日は創業70年を超える福島市の鮮魚店です。店を仕切るのは若き3代目。秘伝の味を受け継ぎながら、新たな取り組みにも挑戦しています。

福島交通 飯坂線の岩代清水駅から県道3号線沿いに歩いておよそ1分。この地でおよそ75年続く『阿部鮮魚店』です。

店内には、種類豊富な鮮魚やお刺身がズラリ。マグロの大トロをはじめとする新鮮なお刺身が並んでいる他、全国各地から仕入れた、珍しいお魚も。

その品質はお客さんの折り紙付き。

\--お客「お魚はここ専門なんです。」

\--番組スタッフ「昔から来てるんですか?」

\--お客「昔から。やっぱり鮮度がいいし、おいしいからね。」

そんなお店には初代店主から代々受け継がれている自慢の商品があるんです。

\--阿部明憲さん(阿部鮮魚店 3代目)「これがうちの塩辛です。」

創業以来、多くのお客さんに支持されているという『いかの塩辛』。手切りで大きめにカットされたイカは臭みがなく、濃厚でクリーミー。噛むたびにうま味があふれ出す塩辛は、ごはんのお供にぴったりなんです。さらにお店を代表する商品がもう一つ。

2代目の壽明(としあき)さんが開発したのが・・・。

\--阿部壽明さん(阿部鮮魚店 2代目)「しょっぱい塩鮭、『雪鮭漬』っていうんですけどね。1回にひと切れ食べられないね、しょっぱくて。」

なんと1回にひと切れ食べられないほどしょっぱいという『雪鮭漬』。 しかし、通常の紅鮭とどこが違うのか正直よくわかりません。

\--壽明さん(阿部鮮魚店 2代目)「焼けば真っ白に塩を吹きます。」

えっ!?焼くと塩を吹く!?ということで火にかけてみると・・・確かに紅鮭から塩がふつふつと噴き出てきます。焼く前の商品と比べてみると、この違い!これはおもしろいですね。

\--壽明さん(阿部鮮魚店 2代目)「ただ塩に漬けただけでは駄目なんですよ。パサパサしてうまくない。これは企業秘密でもあるんだけど、塩の中に漬け込むという。」

塩気の強烈なパンチだけではなく、紅鮭のうま味を引き立たせた、味わい深い『幻のしょっぱい紅鮭 雪鮭漬(1切れ 540円)』

そんな2大名物を受け継ぎ、現在、お店を切り盛りするのは3代目の明憲(あきのり)さん。

\--番組スタッフ「(2代目の)ご指導は?」

\--阿部明憲さん(阿部鮮魚店 3代目)「見て育つタイプです。」

\--壽明さん(阿部鮮魚店 2代目)「しゃべると喧嘩になるから、黙ってやる。お互いに。」

お店の看板商品を受け継ごうと必死に食らいつく中、こんな新しい取り組みを始めました。

\--明憲さん(阿部鮮魚店 3代目)「〝ナンヨウキンメダイ″っていう、南にいるキンメダイで、この辺ではまず入ってこない魚ですね。ちょうどコロナ禍のときに公式LINEを始めまして、全国の魚を直で取るということを始めました。福島で出会ったことのないような魚を手に入れて、お客様に楽しんでもらってる。」

SNSを有効に使うことで、仕入れ先を一気に拡大。福島ではなかなか食べることができない珍しい魚を全国各地から仕入れているんです。さらに仕入れた魚の情報は、毎朝公式LINEでお客さんに発信。

\--明憲さん(阿部鮮魚店 3代目)「お客さんとの繋がりがすごく近くなったっていうのはあります。〝こんな魚入ったよ″っていうとLINEで返してくれる。そういう意味では公式LINEをやって良かったかなと思いますね。」

そんな3代目の取り組みに、2代目の壽明さんは・・・?

\--壽明さん(阿部鮮魚店 2代目)「アイディア出してやってるから、いいかなと思って見てるところです。」

\--明憲さん(阿部鮮魚店 3代目)「商売に対してまっすぐな人なんで、その辺は見習って、一つ筋を通して商売できるように私もなれればいいかなと思ってます。〝現状維持は退化″と常に思ってるので、そのニーズに合わせられるように、新しいことをできるような発想を持ってやっていきたいなと思ってます。」

看板商品を受け継ぐことはもちろん、時代に合わせたサービスを模索していく。3代目の挑戦はまだまだ続きます。

【紹介した店舗】
阿部鮮魚店
住所:福島県福島市泉字大仏25-1
問い合わせ:024-557-4879
営業時間:午前9時~午後7時30分
定休日:月曜日

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年6月20日放送回より)



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