じもとHDが国管理下に 株主総会、無配当で議決権発生

じもとホールディングスの株主総会の中継会場となったきらやか銀行本店に入る株主ら=山形市

 きらやか銀行(山形市、川越浩司頭取)と仙台銀行を傘下に持つじもとホールディングス(HD、仙台市)は20日、同市で株主総会を開いた。業績悪化のために期末配当を無配当としたことで、優先株を持つ国が63.52%の議決権を取得し、実質的に国の管理下に入った。

 じもとHDを通じてきらやか銀行に注入された公的資金の合計は480億円。優先的に配当を支払うことで通常議決権は発生しないが、過去最大の赤字を計上したことに伴い無配としたため、議決権が生じた。復配により議決権はなくなるが、25年3月期の配当予想は未定としている。

 今年9月に期限を迎える公的資金200億円の返済も困難になったとし、国との協議を始めている。同行の川越頭取(HD会長)、内田巧一常務(HD常務)、HDの鈴木隆社長は今総会では重任したが、協議にめどが付き次第引責辞任する。HDは同日、9月中に臨時株主総会を開くことを発表しており、それまでにトップ人事を含む今後の方向性をまとめる方針。

 この日の株主総会では、冒頭に鈴木社長が赤字決算と無配について謝罪した。川越氏も「きらやか銀行の244億円の赤字決算の影響で、じもとHDも234億円の赤字となり無配となった。HD会長、きらやか銀行頭取としておわび申し上げる」と述べた。

与信管理の甘さ指摘 期待や応援の声も

 じもとホールディングスの株主総会では、川越浩司会長(きらやか銀行頭取)らが早期の経営改善と黒字化に向け、審査体制の強化などを強力に進めると説明した。株主からは同行に対する期待や応援の声も聞かれたが、与信管理の甘さなどを厳しく指摘する意見も上がった。

 山形市の同行本店にも、株主向け中継会場が設けられた。出席者によると、発言した株主からは、経営陣にさらなる奮起を促す人や、同行への感謝を語る人もいたという。

 同行の審査体制強化を求める意見には、仙台銀行から融資担当役員を受け入れるなど、外部の視点を活用した取り組みを進めていることが説明された。国(整理回収機構)からも、赤字決算と無配の理由、経営改善の施策と見通しについての事前質問が寄せられた。

 山形会場に出席した50代会社役員は「厳しい決算を見て、今後が気になって出席した。与信管理の徹底が必要だろう」と述べた。

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