富山・大山地域にクマ、80代男性重傷 24年初の人身被害、県が出没警報

男性がクマに襲われた現場付近を調べる県職員と消防署員=21日午後1時半ごろ、富山市西小俣

 21日午前11時ごろ、富山市西小俣(大山)で、80代の男性が自宅近くの外で作業中にクマに襲われ、右鎖骨を折るなどの重傷を負った。市や県警がパトロールしたものの、クマは見つからなかった。県によると、県内でクマによる人身被害が起きたのは今年初めて。人身被害の発生を受けて県は同日、県ツキノワグマ出没警報を発令した。22日に緊急対策会議を開く。

 県自然保護課によると、男性は自宅そばの畑付近でクマと遭遇し、頭部や肩を引っかかれたとみられる。顔を負傷したほか、右肩骨折などのけがを負い、近くの女性宅に駆け込んで助けを求めた。市内の病院に搬送され、全治1カ月程度と診断された。命に別条はないという。女性が119番した。

 現場は、市中心部から約15キロ南東に離れた熊野川沿いの山あいの集落。県や消防、県警などが周辺をパトロールし、付近住民に注意を呼びかけた。近くの同市上滝小学校は、現場周辺に住む児童の保護者に迎えを依頼した。上滝中学校では、バスに乗って下校する生徒を教諭が見守った。

 県内の今年のクマの出没件数(目撃、痕跡)は、20日時点で昨年同期より23件多い110件。5月下旬、砺波市で住宅敷地内の屋敷林の木に登って身を潜めていた成獣が駆除され、今月6日には立山町で民家の敷地内に出没したとの目撃情報があった。

 県内では昨年、人身被害が7件発生し、死者1人を含む9人が被害に遭った。

男性がクマに襲われた付近を調べる県職員や消防署員=21日午後1時半ごろ

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