都知事選ポスター掲示板が《公衆電話のピンクチラシ》に…N国党“掲示板ジャック”は選挙制度の愚弄

有権者は驚き(C)日刊ゲンダイ

各政党につき公認や推薦する候補者は1人に限るなど、今後は何らかの規制が必要になるのではないか。20日告示された東京都知事選(7月7日投開票)を巡る、選挙ポスター掲示板“ジャック”の一件だ。

前回(2020年)の22人を大幅に上回る過去最多の56人が立候補を届け出た今回の知事選。東京都選挙管理委員会が事前に用意していた候補者48人分の選挙ポスター掲示板枠を大幅に上回ることになった要因は、何といっても「NHKから国民を守る党」(N国党)の大量擁立があるだろう。

N国党は、団体に寄付した人は自分の好きなポスターを掲示板に貼ることができるーーなどと訴えたことから、趣旨に賛同する候補者が集結。公認19人、推薦5人の計24人が届け出を行い、結果、都内各所に設置された選挙ポスターの掲示板は凹の字形にほぼ同様のポスター24枚が並ぶ異様な状況となったのだ。

「カワイイ私の政見放送を見てね」「生活困窮者をなくせ!」……。凹の字に張られたポスターの種類は場所によって異なるものの、中には笑顔の女性の写真とともに「QRコード」が付いていて、スマホで読み込むと他のサイトに誘導されるポスターもある。

■SNS上では《選挙制度をバカにしている》との声

SNS上では《選挙制度をバカにしている》《早く法改正した方がいい》との声が上がった一方で、こんな投稿もあった。

《派手なピンク色と若い女性の笑顔の写真がズラーっと並ぶ。思い出したよ、ピンクチラシを》

《カワイイ私を見てというコピー。どこかで見た光景だと考えていたら思い出した。公衆電話のピンクチラシのようだよ》

「ピンクチラシ」とはかつて、風俗店やアダルトビデオの通信販売などを勧誘していたチラシのこと。とりわけ、今ではもうほとんど見ることがなくなった公衆電話ボックスには、内部の至る所に名刺サイズのチラシが張ってあった。

その後、各自治体はピンクチラシを迷惑防止条例などの法規制対象とし、公共の場所で配布したり、公衆の用に供する建築物内などに掲示したりすることを禁じる展開となった。

今回出現したポスターはピンクチラシではないとはいえ、かつての公衆電話ボックスのような掲示板の状況に驚いた有権者は少なくないようだ。

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